S&P500指数の年間での下落率について、**5%・10%・20%・30%**の各段階に分けて、過去の発生頻度と将来の発生確率を分析します。ここでいう「下落◯%」とは、いずれも1年以内にそれだけ指数が下落したケースを指します。歴史的なデータを見ると、小幅な下落は非常に頻繁に起こりますが、大幅な暴落は滅多に起こりません。それぞれの下落規模について詳しく見ていきましょう。
5%下落の発生確率
S&P500が年間で5%以上下落する局面はごく日常的です。過去の統計では、平均すると数ヶ月に一度は5%以上の値下がりが発生しています。つまりほぼ毎年、少なくとも一度は5%クラスの下落が起きている計算になります。これほどの小幅な下落は市場では珍しくない変動幅であり、短期的な調整の範囲内と言えます。
10%下落の発生確率
10%以上の下落(いわゆる調整局面)も頻繁に見られます。歴史的に見ると、1~2年に一度はS&P500が年初来高値から10%以上下落する局面がありました。ほぼ毎年のように10%近い調整が発生しており、多くの場合はこの程度下落してもその後相場は持ち直しています。10%前後の下落は比較的一般的な変動であり、必ずしも大暴落の前触れではありません。
20%下落の発生確率
20%以上の下落になると、市場は一般に弱気相場(ベアマーケット)入りしたと見なされます。この水準の急落は15%程度の調整よりも発生頻度が低く、戦後約70年間で10数回程度しか起きていません。平均すると6~7年に一度の割合で20%超の年次下落が発生してきた計算になります。年間ベースで20%以上下落する確率に直すと、およそ15%前後と推定されます。このような大幅下落は景気後退や金融危機など重大なイベントに伴って起こることが多いです。
30%下落の発生確率
30%以上の下落(歴史的な大暴落)は極めて稀なケースです。1950年代以降の約75年で、この規模の下落はわずか5~6回しか発生しておらず、平均すると十年以上に一度という頻度になります。実際、株式市場が数十年間も30%超の暴落を経験しないこともあります。ただ一方で、1930年代の大恐慌期のように30%を超える暴落が短期間に重なった時期も歴史上存在しました。
将来の30%暴落について考えると、その発生確率は過去の頻度に基づけば年あたり数%(およそ5~10%未満)程度と見積もられます。平時において30%以上暴落する年が訪れる可能性は一桁%とかなり低いですが、これは平均的な見積りに過ぎません。実際のリスクは市場環境によって変動し、金融危機やバブル崩壊時にはこの確率が一時的に高まることもあります。総じて言えば、30%を超えるような壊滅的な下落は極めて稀なイベントですが、投資家はゼロではないリスクとして念頭に置いておく必要があります。
要点まとめ(年間下落幅ごとの頻度):
- 5%以上の下落: 年内にほぼ必ず発生するごく日常的な変動幅
- 10%以上の下落: ほぼ毎年1回程度起こる一般的な調整局面
- 20%以上の下落: 6~7年に一度発生する比較的まれな弱気相場
- 30%以上の下落: 十数年に一度の極めて稀な暴落(年次確率は一桁%程度)
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