亀頭が欠損した場合の復元方法

再接着(再植)

切断された亀頭が残っている場合は、血管と神経を顕微鏡下で再縫合することで再接着が試みられます。保存状態が重要で、暖かい状態ではおおむね6時間以内、氷で冷却した場合でも24時間以内に手術を行うのが望ましいとされています。この期限を過ぎると成功率は低下します。再植後の生着率を高める補助療法として、高圧酸素療法が利用されることもあります。

ネオ‑グランズ(人工亀頭)の再建

切断片がなくなってしまった場合でも、人工的に亀頭を作る再建術がいくつかあります。

  • 分層皮膚移植(STSG): ペニスの海綿体を露出させ、太ももや臀部から採取した薄い皮膚を縫い付けて擬似亀頭を形成する方法で、陰茎がんの手術後によく用いられます。大多数の患者が見た目や排尿機能に満足していますが、本来の亀頭ほどの敏感さは残りません。
  • 口腔粘膜移植: 頬の内側などから採取した粘膜を使って亀頭を再建する方法で、湿潤環境にも乾燥環境にも適応し感染に強いという利点があります。症例報告では、誤った包茎手術で亀頭を失った9歳男児に頬粘膜移植を行い、良好な整容性と排尿機能が得られました。また、テストステロン療法で陰茎を延長してから移植したケースや、10年後まで追跡された2例では、外観と機能が長期にわたって維持されていました。
  • 耳介軟骨複合移植: 耳の軟骨片を楔状に切り出して移植する方法で、軟骨の弾力が亀頭に似ているため、整容面の満足度が高いと報告されています。普及はまだ限られ、長期成績は不明です。
  • その他の皮弁・筋筋膜弁: 陰嚢や腹直筋筋膜などを利用した皮弁や筋膜弁による再建も報告されていますが、尿道瘻や尿道狭窄のリスクが高い場合があります。

再生医療・組織工学の研究

脱細胞化したヒト亀頭のマトリックスに幹細胞を播種する試みなど、亀頭や陰茎全体の再生を目指す研究が進められています。ただし、現在は動物実験や体外での検討段階にとどまっており、臨床応用には時間がかかりそうです。

日本での対応

日本国内でも、陰茎がん手術後などに局所皮弁や遊離皮弁を用いた再建術が行われています。亀頭を失った場合は、できるだけ早く泌尿器科や形成外科の専門医がいる医療機関を受診し、再植の可否も含めて相談することが重要です。

結論: 自然に亀頭が元通りになることはありませんが、早期に医療機関を受診すれば再植や人工亀頭の再建によって機能と外観を大きく回復できる可能性があります。非外科的に完全な亀頭を再生させる技術はまだ確立していませんが、再生医療研究が進んでいます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました