435対100の政治学:中間選挙における下院と上院の力学

米国の中間選挙(midterm elections)は、4年周期の大統領任期の中間に行われる連邦議会選挙で、11月の第1月曜日の後の火曜日に実施されます。大統領選挙のない年であるため、主役は連邦議会の上下両院です。ここでは特に上院と下院の構造に焦点を当て、その違いや中間選挙における役割を解説します。

下院(House of Representatives)

  • 人数と任期
    下院は連邦議会の「大衆院」とも呼ばれ、50州の人口に比例して配分された435人の議員で構成されます。さらにコロンビア特別区や米領5地域から選出される投票権のない代表やプエルトリコの常任委員がいます。下院議員の任期は2年で、各議員は自らの選挙区の住民を代表します。任期が短いため、議員は有権者の意見を迅速に反映することが求められ、中間選挙では全議席が改選対象となります。
  • 選出要件と権限
    立候補者は25歳以上、米国市民歴7年以上、その州の住民であることが必要です。下院には税法案の提出権があり、大統領や官僚の弾劾訴追を開始できるほか、選挙人団で決着しなかった大統領選挙の最終決定権も持ちます。議員は多数党が議長(下院議長)を選出し、委員会や議事運営に大きな影響を持ちます。

上院(Senate)

  • 人数と任期
    上院は州の平等な代表機関であり、各州から2名ずつ選ばれる計100名の議員で構成されます。任期は6年で、連続性を持たせるために議席が3つのクラスに分けられ、2年ごとに約1/3の議席のみが改選されます。中間選挙では一般に33~34議席が争われます。6年の長期任期と改選の分散により、上院は「継続する議会」とみなされ、短期的な世論から一定の距離を保つよう設計されています。
  • 選出要件と権限
    上院議員は30歳以上、米国市民歴9年以上、その州の住民であることが求められます。もともと州議会による間接選挙でしたが、1913年の憲法修正第17条により全国民による直接選挙になりました。上院は大統領任命の高官や連邦裁判官を承認し、条約を批准し、下院が提出した弾劾訴追の裁判を行います。また、法案の審議では無制限討論(フィリバスター)が認められ、3/5(60票)の賛成による討論終結決議がない限り採決に進めないため、少数派も影響力を保持できます。

中間選挙の意義

中間選挙は大統領の任期中間であることから、政権運営への評価を示す国民投票的な性格を持ちます。全下院議席と上院の約1/3が改選されるため、どちらの党が各院の多数派を握るかが決まります。議会の多数党は委員会の議長や議事日程を支配し、法案審議や大統領提案の通過に直接影響するため、与党が少数派に転じると大統領の政策運営は大きな制約を受けます。また中間選挙では多くの州知事・州議会議員・地方自治体の首長や住民投票が同時に行われることが多く、各州・地方の政治にも影響を与えます。

要約

  • 中間選挙は大統領任期の中間に行われ、全下院議員(435議席)と上院議員の約3分の1が改選される。
  • 下院は州人口に比例した435議席、任期2年、25歳以上で市民歴7年以上の州住民が立候補できる。税法案提出や弾劾訴追開始など独自権限を持ち、国民の意向を迅速に反映する役割を担う。
  • 上院は各州2名、計100議席で任期6年。30歳以上で市民歴9年以上の州住民が立候補し、議席は3クラスに分けられ2年ごとに約1/3が改選される。大統領任命の承認や条約批准、弾劾裁判などの権限を持ち、継続的な審議と抑制的な役割を果たす。
  • 多数派が上下どちらの院を支配するかは政府の政策遂行や人事承認に直結するため、中間選挙は政権への審判であり、国内政治の方向性を左右する重要な選挙である。

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