背景:2026年1月20日に起きた出来事
- 2026年2月の参議院選挙を前に、各政党が消費税減税など大型の経済対策を掲げたため、市場は財源への懸念から日本国債に売りを集中させました。
- 2026年1月20日、30年国債利回りは3.88%(過去最高3.89%)、40年国債利回りも4.17%と記録的水準に達し、10年債でも2.34%まで急騰しました。
- 超長期ゾーンに投資していた保険会社が買いを控えたことや20年債入札の不調、海外投資家による日本売りなどで資金調達コストが急騰し、米国の30年国債利回りまで6ベーシスポイント上昇しました。
正(テーゼ):危機論—「日本版トラスショック」説
- みずほリサーチ&テクノロジーズは、政権基盤の弱体化と減税や追加歳出による財政規律の弛緩が市場の信認低下を招き、日本国債の格下げや円・債券・株の同時下落を引き起こす「日本版トラスショック」の可能性を指摘しています。
- 英国のトラス政権が2022年に財源を示さず大規模減税を発表した結果長期金利が急騰し政権崩壊につながった事例と比較し、日本の公的債務残高が名目GDPの200%超と英国以上に大きい点を踏まえると、より深刻な危機に陥る恐れがあると警鐘を鳴らします。
- 30年債や40年債の利回りが歴史的水準まで上昇したことは、長期的に低金利に依存した財政運営が限界に近づいている証左であり、利回り上昇は国債費の増大を通じて財政赤字拡大を加速させます。
- 国内保険会社の国債購入控えと外国人投資家の存在感増大が進む中で信認を失えば、日本売りが進みやすい環境が整っていると分析されます。
反(アンチテーゼ):悲観論への反論
- ソニーフィナンシャルグループのレポートでは、足元の超長期金利上昇は世界的な現象であり、米国の恒久的な減税や欧州の再軍備など各国の財政拡張が重なって世界的な政府債務増大懸念を高めていると指摘します。
- 日本の40年債利回りは2025年春以降、従来の10年債ではなく米国30年金利との相関が強まり、米30年金利が上昇すれば日本の超長期金利も連動して上昇する可能性があるとしています。
- 日本は経常黒字国で、政府債務の大部分を国内投資家が保有しているため、外国人投資家に依存する英国と比較して資金の逃げ足が遅いと考えられます。さらに日銀は必要と判断すれば無制限に国債買入れを行う権限を持ち、市場安定策を実施できる点がクッションとなっています。
- 一部の投資家は、今回の売りが行き過ぎで長期金利の水準は割安だと述べ、政治的不透明感が解消されて財務省が超長期債の発行を抑制すれば利回りは低下すると指摘しています。
- 日本政府が財政の持続可能性を示し、税減免の財源や将来の歳入歳出均衡のロードマップを提示すれば、市場の信頼は維持できるとの意見もあります。
合(ジンテーゼ):バランスの取れた見解
- 今回の超長期金利急騰は、国内の政治的な不透明さと世界的な長期金利上昇という二つの要因が重なって発生したと考えられます。
- 日本政府が減税や大規模歳出を掲げる一方、財源や中長期的な財政健全化策が明確に示されなければ、市場は財政プレミアムを要求し利回りはさらに上昇するでしょう。
- みずほの指摘のように、政権基盤の弱体化と財政規律の弛緩が進めば「日本版トラスショック」によって債券・円・株式の同時下落が起こるリスクがあります。
- 一方、米国や欧州でも長期金利が上昇しており、日本の動きが米国超長期金利を押し上げたことは、世界の投資家が財政拡張に警戒している証拠です。日本だけが危ないわけではなく、長期金利の均衡点は世界的に上がっていると言えます。
- 日本は経常黒字と国内投資家基盤、日銀による市場安定化策という緩衝材を持ち、危機の発生は政策次第で回避可能です。
政策提言
- 減税や補正予算の財源や期間を明示し、長期的な増税や歳出抑制策と組み合わせて提示すること。
- 長期・超長期国債の発行計画を再検討し需給の均衡を保つこと。
- 日銀は政策金利と長期金利のギャップに配慮しながら、必要に応じて国債買い入れで市場の安定化を図ること。
- 市場との対話を重視し、海外投資家の懸念を払拭することで、日本版トラスショックが金融危機に発展することを防げると述べています。
要約
- 2026年1月20日に30年国債利回りが3.88%、40年国債利回りが4.17%と過去最高水準に急騰し、米国30年金利まで6ベーシスポイント上昇する事態となりました。
- みずほリサーチ&テクノロジーズなどは、政権の弱体化と財政拡張で日本版トラスショックが起こりうると警戒しています。
- ソニーフィナンシャルグループなどは、超長期金利上昇が世界的現象であり、日本は経常黒字と日銀の政策対応を背景に危機を抑制できると分析しています。
- 結論として、この急騰は国内の財政不透明感と世界的な金利上昇の相乗効果によるもので、政府が財政の持続可能性を明示し日銀が適切な市場安定策を実施すれば危機は回避可能であるとまとめられています。

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