定期積金給付補填金はなぜ雑所得なのか:契約構造から読み解く所得区分の本質

1. 正:一般の預貯金利子は「利子所得」である

  • 所得税法では、預貯金の利子や公社債の利子などが「利子所得」に分類されます。
  • 利子所得の金額は受け取った利息の全額とされ、支払時に所得税15.315%と住民税5%が源泉徴収され、確定申告をすることはできません。
  • 満期後に元本を預けたままにして発生する利息も、預貯金として支払われる限り利子所得に該当し、上記の課税が行われます。

2. 反:定期積金の給付補填金は利子所得ではなく雑所得

  • 定期積金は、預入者が毎月一定額を積み立てる義務を負い、金融機関が満期時に元本と給付金を支払うという双務契約です。普通預金・定期預金のように預入者には義務がなく金融機関のみが返還義務を負う片務契約とは性質が異なります。
  • この契約上の違いから、満期時に支払われる給付金は「預金の利息」とは別物とされ、金融機関が契約者に満期額を保証するための調整金という性格を持ちます。
  • 所得税基本通達は、定期積金や相互掛金に基づく給付補填金を利子所得から除外し、「その他雑所得」に分類しています。

3. 合:経済的性質が利子に近いが、雑所得として課税する理由

  • 研究論文では、相互銀行などが受け入れる定期積金の給付補てん金は経済的には預金利子と差がないとしながらも、法律的には消費寄託(預金)ではないため利子所得と区別されると指摘しています。
  • 判例も、預金は不特定多数の預金者に対し同額を返還する特別の双務契約であり、定期積金の給付補てん金は利子とは性質を異にすることから雑所得とされていると説明します。
  • 一方、税制の中立性を確保するため、給付補てん金は雑所得のまま 源泉分離課税とされ、税率は預貯金利子と同じ20.315%に調整されています。このため、納税者は他の雑所得と合算して申告する必要がなく、実務上の処理は預金利息とほぼ同じです。

4. 満期後に受け取る利息が利子所得となる理由

  • 満期後に元本を引き出さず預け続けた場合、金融機関との契約は預貯金と同じ消費寄託契約に変わり、以後の利息は預金利子として扱われます。
  • 預貯金の利息は利子所得に該当するため、満期後に発生する利息は利子所得として源泉分離課税の対象になります。

5. まとめ

弁証法の「正‐反‐合」で整理すると、定期積金の給付補填金と満期後の利息の違いは次のように理解できます。

ステップ内容理由
正(テーゼ)預貯金利子は利子所得預貯金・公社債の利息は利子所得に分類され、支払時に源泉分離課税を受けます。
反(アンチテーゼ)定期積金の給付補填金は雑所得定期積金は預金とは異なる双務契約であり、満期時の給付は利息ではなく義務履行の対価とみなされる。所得税基本通達はこの給付を雑所得に分類します。
合(ジンテーゼ)税制上は中立性を保つため同じ税率で課税経済的には利子とほぼ同じため、租税特別措置法により雑所得のまま源泉分離課税し、利子所得と同じ税率で課税する。満期後に発生する利息は預貯金利子に戻るため利子所得として扱われる。

このように、定期積金の給付補填金は契約の性質が預金利子と異なるため雑所得とされますが、税制の中立性の観点から、課税方法は預金利子と同じ源泉分離課税です。一方で、満期後に発生する利息は預貯金としての利息に該当し、利子所得として課税されます。

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