背景
ブリッジウォーター・アソシエーツの創設者レイ・ダリオは、2025〜2026年に金への注目を強め、「ポートフォリオの約15%を金に配分すべきだ」と主張しました。しかし、米証券取引委員会に提出された13F報告書によれば、2025年末時点の同社の主な保有銘柄はS&P500連動ETFのSPYやIVV、半導体・IT企業であり、金関連資産は上位にありません。
テーゼ(レイ・ダリオの主張)
- 歴史的信任と普遍性: ダリオは金を長い歴史をもつ通貨と評価し、中央銀行による価値の希薄化の影響を受けない資産として重視しています。
- 分散投資効果: 株や債券がバブル崩壊に直面した際、金は相関が低い資産として機能するため、ポートフォリオの10〜15%を金に配分することを推奨しています。
- 通貨安と金価格の上昇: 2025年にはドルなど法定通貨の価値が下落し、金は主要資産の中で最も高いリターンを記録したと指摘しました。
アンチテーゼ(反論・補足視点)
- 他の貴金属: 銀やプラチナは再生可能エネルギーや電気自動車向けの需要が強く、供給不足から2025年には金以上の値上がり率を示したとの見方があります。
- 実際のポートフォリオ: ブリッジウォーターの13F報告では、金関連ETFは上位に含まれておらず、SPYやIVVといったETF、NVIDIAやラムリサーチなどの半導体株が大きな割合を占めています。
- 金の機会費用: 金は利息や配当を生まず、株式上昇局面ではパフォーマンスが劣後する可能性があるとの指摘もあります。
- 市場環境: 2025年はAI関連株の急騰もあり、ドル建てでは株式リターンが大きく見えたものの、他通貨や金換算では実質リターンが低下しました。
シンセーシス(統合)
ダリオの金重視発言と実際の投資行動を統合すると、リスク分散戦略に基づく「オール・ウェザー」型アプローチが浮かび上がります。金を法定通貨のリスクヘッジとして保有しつつ、株式や成長企業にも投資してリターンを追求するという組み合わせです。彼は金の配分比率を10〜15%としながらも、通貨・金利動向に応じて配分を調整するリスク・パリティの考え方を採り入れていると考えられます。
結論
レイ・ダリオは、信用不安やインフレに備えるため金をポートフォリオの一部に組み入れるべきだと提唱しています。しかし、同氏の運用ファンドでは広範に分散された株式投資も行われており、金一本に偏るわけではありません。弁証法的に見ると、金などの安全資産による保険と株式・産業資産による成長取り込みを両立させたリスク分散戦略こそが、彼の発言と行動を統合する主題です。

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