Ken Kurahashi

税務会計

欠損金の損金算入における「適用額明細書」の要否について

法人税の申告では、過去の欠損金(青色欠損金や災害損失欠損金)を損金算入して課税所得から控除することができますが、これは法人税法に定められた一般的な制度であり、租税特別措置法に基づく特例ではありません。そのため通常の欠損金の繰越控除を行う場合...
税務会計

事業税における「分割基準」とは

法人事業税は、事業所の所在する都道府県に課される地方税です。支店や工場などを複数の都道府県に設置している法人は、全社で計算した課税標準(所得金額や付加価値額など)を一定の基準に従って各都道府県に按分します。この基準を**「分割基準」**と呼...
政治経済

制度の金と生活の銀

テーゼ:金本位制と金貨の神話一般に「金本位制」と聞くと、金貨が広く流通し、国家が金に裏打ちされた通貨制度を確立していたと考えられがちです。多くの歴史書や経済学の教科書では、金を国際金融秩序の基盤とし、金貨が通貨として利用されていたかのように...
政治経済

信用不安の拡大と市場の二重構造

主題の背景と問題提起2007〜2008年の金融危機の前兆(サブプライム関連の損失、ヘッジファンドや欧州銀行の破綻、ノーザン・ロック取り付け騒ぎなど)が軽視され、やがて暴落につながった。その上で、2025年時点でもトライカラー(米サブプライム...
政治経済

BRICS決済システム

序論BRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)に、エジプトやサウジアラビア、イランなどを加えた拡大BRICSは、人口で世界の約45%、購買力ベースGDPでは36〜45%を占める新興大国の集合体である。西側が主導するSWIFTネ...
政治経済

中央銀行の金買い越しが示す「ドル信認低下」と「多極化する国際通貨体制」

このグラフは、中央銀行による金の純購入量と金価格の推移を示し、長期的なゴールド購入スパイクの終盤が描かれています。弁証法的な観点で考察すると、以下のような議論が可能です。定説(テーゼ)過去数十年にわたるデータを見ると、中央銀行は長期にわたっ...
投資

金市場の信頼・支配・透明性の統合的再編

テーゼ(正):LBMAの役割と功績世界的な基準作成者LBMAは金・銀・プラチナ・パラジウム取引の品質・保管・出所基準を定め、各国の銀行や精錬所が従う「グッド・デリバリー・リスト」を運営しています。2024年版のサステナビリティ&責任ある調達...
政治経済

サマーズ氏の懸念とトランプ政権のアルゼンチン救済

テーゼ(正) – トランプ政権支援の妥当性金融安定への寄与:ラリー・サマーズ氏は、米国は流動性危機に直面する国々への対応で主導的役割を果たすべきだと述べている。アルゼンチンは財政黒字化を達成したものの外貨準備が枯渇しつつあり、外国債務の支払...
政治経済

インド「金銀連動通貨」報道の真相――実際は金準備拡大とデジタル・ルピー試験運用

インドが「金銀で裏付けした通貨」を導入したという報道は、2025年秋ごろからソーシャルメディアや一部の陰謀サイトで拡散されました。しかし、公式発表や主要メディアの記事を確認すると、これらは事実ではありません。米ドル離れの動きなどを背景に「金...
政治経済

1ドル=360円時代と輸入品高騰

戦後インフレの収束と経済再建を目的として、1949年2月に「ドッジ・ライン」と呼ばれる政策パッケージが採用された。公定歩合引き上げや政府支出の大幅削減、日銀による国債引き受けの禁止などに加えて、1ドル=360円という単一固定相場が設定され、...