投資

巨額の信用取引残高とS&P500上昇

テーゼ(肯定側の観点)危険信号としての信用取引残高:FINRAの最新データによれば、2025年9月の信用取引残高は約1.13兆ドルと過去最高に達し、前年比で40%前後増加しています。自由に引き出せる投資家の現金残高に対して借入金が大きく上回...
政治経済

外貨が蓄積されると物価高になる理由

はじめに外貨が国内に蓄積される状況は、輸出が輸入を上回る場合や海外投資・観光収入、あるいは資本流入を受けて中央銀行が為替介入を行う場合など、さまざまです。外貨準備の増加は経済安定に寄与しますが、同時に国内の貨幣供給や価格に影響を及ぼします。...
政治経済

周小川とバンコールの先見性

序論2009年3月、当時の中国人民銀行総裁だった周小川は「国際通貨制度の改革」を発表し、基軸通貨システムの弱点が金融危機を招いたと主張しました。彼はIMFの特別引出権(SDR)を国際準備通貨とする案を提起し、第二次世界大戦期にケインズが提唱...
政治経済

日本の金融ビッグバンについて

日本の金融システムは戦後長く銀行優遇・分割主義が続き、銀行と証券会社の業務は厳格に分けられ、利率や為替も政府が管理していました。1996年、橋本龍太郎首相がロンドンの「ビッグバン」にならい、日本の金融市場を根本的に改革する「金融ビッグバン」...
政治経済

恐慌を弁証法的に論じる

弁証法の基本弁証法は古代ギリシアの対話技術に由来し、ヘーゲルによって体系化された。ヘーゲルは、あらゆる存在が内部に矛盾を含み、矛盾は対立物を生み出しつつ最終的には止揚(アウフヘーベン)という形で高次の統一へ統合されるとした。エンゲルスは唯物...
未分類

金と銀の価格差における構造的矛盾 ― 中央銀行のゴールド買いと庶民のシルバー需要

金と銀の価格の動きは表面的には同じ「貴金属の相場高騰」の現象ですが、背後にある買い手と構造要因は対照的です。この違いを弁証法的に捉えると、中央銀行による金の積極的な買いと、一般市民や投資家が銀に目を向け始めた現象の間に矛盾と緊張が存在し、そ...
政治経済

米国の国債利払い費がスイス経済に匹敵する規模に — 防衛費・メディケアを超えた“見えない国家支出”

米国の財政年度(FY)2024年に、連邦政府が国債の利払いとして支出した「ネット利子」は約8,800億ドルに達しました。米政府の支出全体の約13%を占め、メディケア(約8,741億ドル)や国防費(約8,735億ドル)を上回り、社会保障に次ぐ...
政治経済

新自由主義 ― マネタリズムとサプライサイド経済学の統合と矛盾

新自由主義が隆盛するきっかけは1970年代のスタグフレーションだった。戦後のケインズ主義は財政支出と金融緩和を組み合わせることで失業とインフレの安定を狙ったが、二桁インフレと不況(スタグフレーション)には対応できなかった。その結果、米英の政...
税務会計

不動産賃貸業における『預り敷金』勘定科目の会計処理と中小企業会計要領の適合性

不動産賃貸業の貸主が入居者から預かる敷金は、契約終了時に返還することが前提の「預かり金」です。したがって貸借対照表では負債として扱い、返還まで1年以上かかる場合は固定負債に、1年以内に返還する場合は流動負債に分類します。中小企業の会計に関す...
投資

ゴールドの復権

テーゼ(肯定的主張)インフレと通貨への不安アメリカでは物価上昇や財政赤字の拡大によりドルの実質価値が減少し、現物資産である金に資金が流れました。2025年10月初旬にはLBMAゴールド価格が1トロイオンスあたり4,000ドルを突破し、年初来...