**社団法人(しゃだんほうじん)**とは、共通の目的を持つ人々の集まり(社団)に法人格を与えたものです。財団法人が「財産」を基盤とするのに対し、社団法人は「人の集まり(団体)」が基盤となる点が大きな特徴です。
1. 社団法人の特徴
(1) 設立の基盤は「人の集まり」
社団法人は、特定の目的のもとに集まった人々によって構成される法人です。会社と異なり、出資を目的としないため、構成員(社員)が利益を分配することはできません。
(2) 運営の主体は「社員総会」と「理事会」
- 社員総会:社団法人の最高意思決定機関(株式会社の株主総会に相当)
- 理事会:法人の運営を担う(取締役会に相当)
(3) 2008年の公益法人制度改革
2008年12月に施行された「一般法人法」および「公益法人認定法」により、それまでの社団法人は「一般社団法人」と「公益社団法人」に分かれることになりました。
2. 一般社団法人と公益社団法人の違い
分類 | 一般社団法人 | 公益社団法人 |
---|---|---|
目的 | 営利以外であれば自由 | 公益目的(教育、福祉、文化活動など) |
設立要件 | 2名以上の社員がいれば設立可能 | 一般社団法人の要件 + 公益認定が必要 |
利益の分配 | 原則不可(ただし社員への給与は可能) | 完全に不可 |
税制優遇 | なし(通常の法人税適用) | あり(寄付金控除、法人税優遇) |
行政の監督 | なし(一般法人法に基づく) | 内閣府や都道府県の監督あり |
3. 具体的な社団法人の例
- 公益社団法人 日本赤十字社(災害救援・医療活動)
- 公益社団法人 日本医師会(医師の団体)
- 一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)(交通安全推進)
- 一般社団法人 日本経済団体連合会(経団連)(企業団体)
4. 会社法人との違い
項目 | 社団法人 | 会社法人(株式会社・合同会社) |
---|---|---|
設立の基盤 | 人の集まり | 出資 |
目的 | 営利目的以外(公益、文化、福祉など) | 営利目的 |
最高意思決定機関 | 社員総会 | 株主総会 |
利益分配 | 不可 | 可能(配当) |
税制優遇 | 公益社団法人のみ優遇あり | なし |
5. 社団法人のメリット・デメリット
メリット
✔ 設立が容易(一般社団法人は社員2名以上で設立可能)
✔ 公益性が高く、社会的信用を得やすい
✔ (公益社団法人の場合)税制優遇がある
デメリット
✖ 利益分配ができない(構成員が利益を得ることができない)
✖ (公益社団法人の場合)行政の監督を受ける
✖ 活動の自由度が低い(公益性が求められるため、利益追求が難しい)
6. 社団法人の設立方法
(1) 設立準備
- 社員(最低2名)を集める
- 目的・活動内容を決定
- 定款を作成
(2) 一般社団法人の設立
- 法務局に登記を申請
→ これで一般社団法人は設立完了!
(3) 公益社団法人への移行(希望する場合)
- 設立後、公益認定の申請(内閣府または都道府県)
- 厳格な審査を受け、認定されると公益社団法人へ移行
7. まとめ
✅ 社団法人は「人の集まり」を基盤にした非営利法人
✅ 2008年以降、「一般社団法人」と「公益社団法人」に分かれる
✅ 一般社団法人は2名以上の社員がいれば設立可能
✅ 公益社団法人は公益目的が求められ、税制優遇あり
✅ 利益の分配は不可、会社とは異なる仕組み
社団法人は、企業と異なり、利益分配を目的とせず、社会的な活動を行う組織として運営されます。設立の自由度が高いため、NPOや協会などが一般社団法人として設立されるケースも増えています。
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