米国市場に上場している金鉱株ETF(Gold Miners ETFs)が過去に暴落した主な理由は、大きく分けて金価格の急落、マクロ経済環境の変化、金鉱企業の業績悪化などが挙げられます。代表的な暴落時期とその背景を解説します。
1. 2013年の暴落(GDX・GDXJの急落)
対象ETF:
- VanEck Gold Miners ETF(GDX)(大手金鉱株を組み入れ)
- VanEck Junior Gold Miners ETF(GDXJ)(中小規模の金鉱株を組み入れ)
暴落の原因
🔻 金価格の大暴落(2013年4月 & 6月)
- 2013年4月、金価格が**2日間で13%**急落し、GDX・GDXJも大幅下落。
- 2013年6月、FRBが「量的緩和(QE)の縮小」を示唆し、金価格がさらに下落。
- GDXは2013年に約54%下落、GDXJは約60%下落。
🔻 投資家のリスク選好変化
- 2013年はS&P500が**+30%**と大幅上昇し、金鉱株から資金が流出。
- 金ETF(GLD)からも大量の資金が流出し、金鉱株ETFに連鎖的な影響。
🔻 金鉱企業のコスト増 & 業績悪化
- 採算割れの鉱山プロジェクトが増加し、多くの企業が巨額の減損処理を発表。
- Barrick Gold(ABX)、Newmont Mining(NEM)などの大手企業が影響を受けた。
2. 2018年の下落(GDX・GDXJ)
対象ETF: GDX、GDXJ
下落の原因
🔻 米ドル高 & FRBの利上げ
- FRBが2018年に4回の利上げを実施し、金価格が低迷(1,300ドル → 1,200ドル)。
- 米ドルが強くなると、金は割高になり、投資資金が逃げやすくなる。
🔻 金鉱株の収益悪化
- 一部の金鉱企業は高コスト体質が改善されず、利益が圧迫。
- GDXは2018年に約**15%下落、GDXJは約25%**下落。
3. 2022年の下落(GDX・GDXJ・SGDM)
対象ETF:
- GDX(VanEck Gold Miners ETF)
- GDXJ(VanEck Junior Gold Miners ETF)
- SGDM(Sprott Gold Miners ETF)
下落の原因
🔻 FRBの急激な利上げ(インフレ抑制)
- 2022年、米国のインフレが40年ぶりの高水準に達し、FRBが異例の利上げを実施。
- これにより金利が急上昇し、金価格が低迷。
- 金鉱株ETFも大きく影響を受け、GDXは2022年に約30%下落、GDXJは約40%下落。
🔻 景気後退懸念
- 世界的な景気減速が金の需要を抑制し、金鉱企業の利益見通しが悪化。
結論:金鉱株ETFの暴落は「金価格の急落」と「FRBの金融政策」が主要因
- 2013年:金価格暴落、投資家の資金流出、金鉱企業の業績悪化
- 2018年:FRBの利上げ、ドル高、金鉱株の収益低迷
- 2022年:急激な利上げ、インフレ対応、景気後退懸念
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