「霧」と「霞」はどちらも空気中に微細な水滴が浮遊する現象ですが、主に発生条件や見え方に違いがあります。
1. 霧(きり, Fog)
▶ 定義
霧は地表付近で視界が悪くなるほど水蒸気が凝結し、水滴が浮遊する現象です。
▶ 特徴
- 視程(見通せる距離)が1km未満
- 水滴が多く含まれるため、湿気が強い
- 気温が下がると発生しやすい
- 朝や夜に発生しやすく、地面に近い
- 発生すると肌に水滴がつく
- 英語では「Fog」または「Mist」(Mistは霧よりも薄い状態)
▶ 例
- 山間部や湖の近くで朝方によく発生
- 都市部でも冷え込む朝に発生することがある
- 冬の寒い日や雨上がりに発生しやすい
▶ 関連語
- 濃霧(のうむ):特に視界が悪くなる濃い霧(視程200m以下)
- 放射霧:夜間に地表の熱が放射され、気温が下がって発生する霧
- 海霧:海上で発生する霧(海水と空気の温度差が原因)
2. 霞(かすみ, Haze)
▶ 定義
霞は、空気中の微粒子(細かい水滴やチリ)が太陽光を散乱させ、遠くの景色がぼんやりと見える現象です。
▶ 特徴
- 視程が1km以上ある(遠くのものがぼやける)
- 水分だけでなく、微粒子(ちりや埃)が影響
- 春や秋に発生しやすい
- 特に朝や夕方の山や都市で発生
- 英語では「Haze」
▶ 例
- 春の山景色で遠くの山が白っぽくぼやけて見える
- 夕方の都市部で、遠くのビルが霞んで見える
- 黄砂やPM2.5が影響し、空がかすんで見える
▶ 関連語
- 靄(もや):霞より水分が多く、霧より薄い状態(視程1km以上)
- 煙霧(えんむ):黄砂や大気汚染の影響で霞む現象
3. 霧と霞の違いの比較
項目 | 霧(きり, Fog) | 霞(かすみ, Haze) |
---|---|---|
発生原因 | 水蒸気が冷えて水滴になる | 微粒子(水滴、チリ、埃)が光を散乱 |
視程(見通せる距離) | 1km未満 | 1km以上 |
発生しやすい季節 | 冬や朝晩 | 春や秋 |
発生場所 | 地面付近、湖、山間部 | 山、都市、大気 |
湿気の影響 | 肌に水滴がつくほど湿気が強い | 湿気の影響は少ない |
英語 | Fog(濃い霧), Mist(薄い霧) | Haze |
4. 霧と霞のイメージ
- 霧 = 「目の前が真っ白で見えない」「しっとりと湿気がある」
- 霞 = 「遠くがぼやける」「幻想的な風景」「春霞(はるがすみ)」
5. まとめ
- 霧は、視界を遮るほど濃い水滴の集合体(視程1km未満)
- 霞は、遠くの景色がぼんやり見える微粒子の影響(視程1km以上)
- 湿気の違い:「霧はしっとり」「霞は乾燥気味」
- 発生時期の違い:「霧は冬や朝晩」「霞は春や秋」
✅ 簡単な見分け方
- 目の前が見えないほど白くなっていたら「霧」
- 遠くの景色がぼんやりしていたら「霞」
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