イギリスが金本位制を放棄した主な理由は、経済的な負担の増加と金融市場の圧力によるものでした。以下に、その背景と主な要因を解説します。
1. 第一次世界大戦による経済負担
- イギリスは 1914年に金本位制を一時停止 しました。戦争による軍事支出の急増と、国際収支の悪化が原因でした。
- 戦費調達のために大量のポンド紙幣を発行し、金との交換を保証するのが難しくなりました。
2. 戦後の金本位制復帰(1925年)
- 1925年、イギリスは 金本位制に復帰 しました(ゴールド・ブロック制)が、ポンドの価値を戦前の水準(1ポンド=4.86ドル)に固定。
- しかし、戦争で弱体化したイギリス経済にとって 過大評価されたポンド は、輸出競争力を低下させ、不況を招きました。
3. 世界恐慌と国際金融危機(1929年~)
- 1929年の 世界恐慌 により、イギリス経済はさらに悪化。
- 1931年、オーストリアやドイツの金融不安が広がり、イギリスの銀行にも影響が及びました。
4. 金流出とポンド防衛の失敗
- 世界恐慌の影響で 投資家は安全資産(=金)を求め、イギリスから金が流出 しました。
- 英国政府は 高金利政策 でポンドを防衛しようとしましたが、国内経済はさらに悪化。
5. 1931年9月:金本位制の放棄
- 1931年9月、金準備の急減により、イギリス政府は 金本位制を放棄 し、ポンドの金兌換を停止。
- これによりポンドは切り下げられ、輸出競争力が回復し、経済は徐々に回復しました。
結論
イギリスが金本位制を辞めたのは、国際金融の不安定化、過大評価されたポンドによる経済停滞、金の流出による通貨防衛の困難 などが主な要因でした。結果的に、ポンドの切り下げはイギリス経済にとってプラスに働き、他国(アメリカなど)も追随して金本位制を放棄する流れが加速しました。
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