バラスト航行日数

用語

**バラスト航行日数(Ballast Days)**とは、タンカーやバルクキャリアなどの船舶が貨物を積んでいない状態で航行する日数のことを指します。

バラスト航行の概要

船舶は、貨物を輸送する際に「往路(laden voyage)」では積み荷を運び、「復路(ballast voyage)」では次の積み地まで空船の状態で移動します。この空船での移動が「バラスト航行(Ballast Voyage)」であり、その航行にかかる日数を「バラスト航行日数」と呼びます。

バラスト航行の特徴

  1. 収益が発生しない
    • 貨物を積んでいないため、この期間の航行は直接的な収益を生まない。
    • そのため、バラスト航行の比率が増えると、船主の収益性が低下する可能性がある。
  2. 燃料コストはかかる
    • 貨物を積んでいないため、燃費は貨物輸送時よりも良いが、それでも燃料コストは発生する。
  3. TCE(Time Charter Equivalent)への影響
    • TCE(1日あたりの実質収益)の計算では、バラスト航行日数は考慮されないことが多い。
    • 例えば、Frontlineの決算報告では、「2025年第1四半期のスポットTCEは、バラスト航行日数の影響で低下する」と記載されていた。
  4. 最適なバラスト航行の戦略
    • 効率的な航路設計: バラスト航行を最小限に抑えるために、荷物を降ろした港から次の積み地が近いルートを選択する。
    • バラスト水の管理: 船の安定性を確保するために、バラスト水(Ballast Water)を適切に調整する必要がある。

バラスト航行の具体例

例えば、原油タンカーがサウジアラビアの港で石油を積み、アジア(中国や日本)に輸送した場合、アジアで貨物を降ろした後、次の貨物を積む港が中東やアメリカの場合、それまでの航行は「バラスト航行」となる。

このため、バラスト航行日数が長いほど、全体の収益性が低下する可能性があり、船会社はできるだけ「積み地」と「降ろし地」の距離を考慮して航行計画を立てることが重要になる。

Frontlineの決算報告との関連

Frontlineの第4四半期決算では、2025年第1四半期のスポットTCEが低下する要因として「バラスト航行日数の増加」を挙げていた。これは、貨物を積んでいない航行が増えたことで、有償航行(貨物を運んで収益を生む航行)の割合が減少するためである。

つまり、タンカー市場においては、バラスト航行日数を最適化し、可能な限り短縮することが収益性向上のカギとなる。

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