2025年世界の金購入先の内訳（速報）

ミュンヘンの貸金庫室に積まれた金の延べ棒とコイン（2025年1月、REUTERS）

2025年における世界全体の金需要（購入）の内訳は、速報値によれば大きく5つの部門に分類できます。以下では、中央銀行、機関投資家、個人投資家、宝飾品需要、産業用途の各カテゴリーごとに、全体に占める割合（％）と推定購入量（トン）を示します。なお、前年2024年の総需要は過去最高の約4,974トンに達しておりgold.org、2025年もその高水準が維持されています。

主要な購入元別の内訳
まとめ

主要な購入元別の内訳

中央銀行（Official Sector）: 約18%（～415トン）。各国の中央銀行による金準備の買い増しは引き続き活発で、2025年上半期だけで約415トンに達しましたgold.org。この公式部門需要は全体のおよそ5分の1を占め、カテゴリー別では宝飾品・民間投資に次ぐ3番目の規模となっていますreuters.com。
機関投資家（Institutional Investment）: 約17%（～400トン）。2025年前半は金ETFへの資金流入が急増し、ETF保有残高は半年で約397トンも増加しましたgold.org。地政学リスクや金価格の上昇を背景に大口の機関投資家による店頭取引なども活発化し、全体の需要押し上げ要因となっていますinvestingnews.com investingnews.com。
個人投資家（Retail Investment）: 約27%（～630トン）。金地金やコインの投資需要は前年より増加し、2025年上半期は推定630トン前後と全需要の約4分の1強を占めましたgold.org。特に中国や欧州で個人の金購入が活発で、中国では四半期ベースで投資用金購入が宝飾品需要を上回るほどの伸びを示していますinvestingnews.com。
宝飾品需要（Jewelry）: 約31%（～724トン）。2025年前半の宝飾品向け金需要は、金価格高騰の影響で前年同期から大きく減少し、数量ベースでは約720トン程度と総需要の3割強にとどまりましたgold.org。とりわけ主要市場の中国（前年比▲20%）やインド（▲17%）で落ち込み、パンデミック期以来の低水準に落ち込んでいますgold.org。
産業用途（Industrial/Technology）: 約7%（～160トン）。エレクトロニクスを中心とした工業用途の金需要は全体に占める割合が1割未満と最も小さく、2025年上半期は約160トンにとどまりましたinvestingnews.com。米国の対中関税問題など貿易の不透明要因もあり若干の減少（Q2単季度で前年比▲2%）となりましたがinvestingnews.com、AI関連分野での需要増などが下支えしています。

まとめ

2025年の世界の金需要構成は、宝飾品需要の比重低下と投資需要の拡大が顕著です。伝統的に最大だった宝飾用途が高価格環境で縮小する一方、機関・個人を合わせた投資需要が増えて主要な購買主体となり、中央銀行の購入も引き続き高水準を維持しています。産業用途は依然小さい割合にとどまっており、全体として「民間投資と中央銀行が金需要を牽引し、宝飾品が押し縮められている」構図となっています。reuters.com gold.org

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