正(テーゼ):「15.2%は妥当な数字」
インド準備銀行(RBI)の金保有額は2025年10月17日時点で1086億ドルに達し、総外貨準備高7023億ドルに対する比率が「15%超」に上昇したと報じられています。金保有額の増加と外貨準備全体の推移を具体的に示し、2024年10月の9.4%から2025年9月の13.2%へと順調に上昇し、10月半ばに15%を超えたことを確認しています。さらに、政策研究機関Drishti IASは2025年9月末時点でインドの金保有量が880.8トンに達し、金の構成比率が「ほぼ15%」に倍増したと記しています。これらはRBIのデータに基づく公式統計であり、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)も同水準を報告していることから、15.2%という比率は総外貨準備に対する金の現在地を示す妥当な推計といえる。
反(アンチテーゼ):「過大評価や変動リスクを考慮すべき」
もっとも、外貨準備に占める金比率は金価格の変動や為替レートに大きく左右されるため、単一の数値を絶対視するのは危険である。RBIは総外貨準備や金の現物保管先を逐一公開しているわけではなく、海外預託分の評価や国内銀行の金保有移管をどう算入しているかによって比率が変わり得る。例えば、Drishti IASは2025年9月末時点で金比率を13.9%と記載する一方で、10月末の総準備額と金準備額を並べると計算上は15.5%に達する。この違いは評価時点や価格換算方法の差によるものであり、報道機関により「15%超」「15.2%」「13.9%」と幅がある。さらに、今後金価格が下落すれば比率は即座に低下し、逆に価格急騰や追加購入があればさらに上昇するため、静的な数字として受け取るのは適切でない。
合(ジンテーゼ):「公的統計を基準にしつつ、変動幅を意識する必要」
以上を踏まえると、インド外貨準備に占める金の比率が15%を超えているという認識は、RBIの公表データと主要報道機関に裏付けられており、15.2%という水準は概ね信用できる。しかし、その数値は金価格や評価方法によって短期間で変動し得るため、「15.2%」を固定的な真値と見るのではなく、概ね14〜16%程度の範囲にあると理解するのが妥当である。RBIは金の積み増しを続けており、比率は今後も変動する見通しであり、指標として用いる際は公表時期や評価基準を確認することが重要である。
要約
インド準備銀行は外貨準備の多様化と金価格上昇を背景に金準備を増やし、2025年10月半ばには金保有額1086億ドル、外貨準備全体7023億ドルという構成から金比率が15%を超えたと報じられています。政策研究機関の資料でも、過去10年で金比率が約7%からほぼ15%へ倍増したと述べられており、15.2%という数字は公的統計を基にした現時点の実勢値といえます。ただし、金価格や為替レートの変動、評価時点の違いによって比率は上下し、資料によっては13.9%と記すものもある。したがって、15.2%という数値は目安としては信用できるが、一定の変動幅を含む指標と捉えるのが妥当です。

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