米ドル依存からの離脱か、通貨防衛か:中印の金保有拡大を読む

足元の状況(最新情報)

  • 中国人民銀行(PBOC)
    • WGCのデータによると、人民銀行の金保有量は2025年9月末時点で2,303.51トンに達し、前年末の2,279トンから増加しました。
    • 外貨準備全体に占める金の割合は7.7%で、2024年末の5.5%から上昇しています。三菱マテリアルの2025年10月更新の表でも中国の金保有量2,303.5トンとともに金の比率を7.7%と記載しています。
    • 金保有割合は2022年11月時点では3.3%程度だったものの、金購入の積み増しと金価格上昇により2025年3月末で5.9%、同年9月末で7.7%に上昇しており、世界平均(約20%)より低いながらも増加傾向にあります。
  • インド準備銀行(RBI)
    • インドの金保有量は2025年9月末時点で880.18トン(前月比+0.20トン)で、外貨準備に占める金の割合は15.2%でした。
    • この比率は2024年末の11.4%から上昇しており、三菱マテリアルの2025年10月更新データでもインドの保有量880.2トン、比率15.2%と示されています。
    • 2017年末には5.6%だった金の比率は2017年12月から2025年1月にかけての積極的な金購入により6.8ポイント上昇し、2025年3月末には12.4%となっていました。その後も金の買い増しと金価格の上昇で比率は15%台まで高まっています。

解説

  • 中国は米ドル資産への依存度を下げるため、2022年末から毎月金を購入しており、金の比率は約2年で2倍以上に増えました。それでもなお外貨準備全体に対する比率は先進国に比べて低く、ドル建て資産が依然として大半を占めています。
  • インド準備銀行は2017年末から金の積み増しを再開し、金保有量を約320トン増やしました。ドルへの依存度を減らす目的に加え、ルピー安防衛のために金準備を増やしていると解説されています。
  • 両国とも世界平均(約20%)より低い比率ですが、インドは金に対する伝統的な嗜好や準備の多角化を背景に15%台まで上昇しており、中国より金の比率が高くなっています。

まとめ:
2025年9月末時点のデータでは、中国人民銀行の金は外貨準備の約7.7%を占め、インド準備銀行の金は約15.2%を占めています。両国とも近年金の比率を引き上げており、特にインドの増加が目立ちますが、世界平均(約20%)にはまだ届いていません。

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