SOXSが逆スプリットを実施した理由:3倍レバETFの宿命と現実

SOXSはフィラデルフィア半導体株指数の1日の変動率を逆方向に3倍で追随するインバース型レバレッジETFです。こうした3倍レバレッジETFは、基準指数が横ばいでも日々のリセットと複利効果によって基準価額が下がりやすく、長期保有者は大きな損失を抱えがちです。そのため発行会社は株価が低迷するとしばしば逆スプリット(株式併合)を実施し、株価を引き上げて上場維持基準や投資家の見た目を保とうとします。

2024年3月15日、運用会社DirexionはSOXSの逆スプリットを発表しました。2024年4月12日の市場閉場後に10株を1株に統合する1対10の逆スプリットが実施され、翌営業日(4月15日)から新しい単位で取引が始まりました。この処理によって発行済み株式数は約90%減り、1株当たりの基準価額は約10倍に引き上げられました。ただし、投資家が保有する総投資額には影響がなく、10株持っていた人は1株になり、株価が10倍になっただけで資産価値は変わりません。逆に言えば、保有株数は減るものの単価が上がるだけであり、投資家にとって実質的な増減はありません。逆スプリットによって発生する端株(1株に満たない部分)は現金で償還される仕組みで、この償還によって所得税などの課税が発生する可能性があります。

SOXSが逆スプリットを行った背景には、SOXSの株価が下落し、ナスダックやNYSEが定める最低株価(一般に1ドル前後)を割り込む恐れが高まったこと、また低水準の株価は流動性低下や投資家離れを招きやすいことが挙げられます。レバレッジETFは特に値動きが激しく、価格が急激に下落すると回復が難しいため、定期的に逆スプリットを行い株価を引き上げるのが一般的です。

まとめると、SOXSは2024年4月に10株を1株にまとめる逆スプリットを行い、株数を減らしつつ株価を10倍に調整しました。これは株価低迷による上場基準の維持や投資家への見栄えを改善するための措置であり、投資家の総投資額には基本的に影響を与えません。また、このような逆スプリットはレバレッジETFでは珍しくなく、価格の大幅な下落や上場基準を下回る懸念が高まった際に行われるのが一般的です。

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