COMEX(金先物取引所)は世界最大の金先物市場であり、その主力である100オンス契約(GC)は金市場の価格指標として機能しています。契約1枚あたり100トロイオンス(約3.11kg)の金を標準とし、電子取引によってほぼ24時間取引が可能です。
COMEX金先物市場の規模
- 取引量と流動性
CMEグループによると、金先物は「世界を代表するベンチマーク契約」であり、1日あたり約2,700万オンスの金に相当する取引が行われています。これは最大の金ETF(SPDR Gold)の約30倍の取引規模に相当します。 - 建玉(オープンインタレスト)
CFTCのデータでは、2025年11月4日時点のGC(100オンス契約)の建玉は約45万0,399枚で、裏付けとなる金量は約4,503万オンスに相当します。また、小口契約であるマイクロ金先物(1枚10オンス)の建玉は7万6,611枚で約76万6,110オンス分です。 - 取引参加者と決済方式
COMEXの金先物は多くの場合反対売買で決済されますが、規格に合致する金をニューヨークの指定倉庫から引き渡す物理受渡しも可能です。2025年には米国への金流入が増え、10月の配当通知(デリバリー・ノーティス)は前年同月の4.6倍に達し、一部月には建玉の29%が物理受渡しとなるなど歴史的な高水準となりました。これまでの通例では1%未満でしたので、2025年は市場構造が大きく変化した年といえます。
COMEXに裏付けられた金の総量
金先物のバックには、COMEXが認めた倉庫に保管される金地金が存在し、登録(deliverable)と適格(eligible)の2分類に分けられています。登録は先物の受渡しに使える金、適格は保管者が引き出す予定のない金ですが、要件を満たせば登録に変更できます。
- 在庫の拡大
2025年には米国への輸入急増により、COMEXの金在庫が急拡大しました。金融サービス大手StoneXによると、2025年の第1四半期にはCOMEXの倉庫在庫が4,300万オンスを超え、ニューヨークへの金流入が過去最高となりました。 - 具体的な在庫規模
フィデリトレードの月次レポートでは、2024年11月5日時点で約1,700万オンスだったCOMEX金在庫が、2025年2月28日時点で3,900万オンスを突破したと報告されています。別の分析では、2025年10月までにCOMEXの総在庫(登録+適格)が2,190万オンスから3,890万オンスへと78%増加したとし、内訳は登録1,990万オンス、適格1,890万オンスとされています。 - 補足情報
世界金協議会によれば、2024年末から2025年初めにかけて、登録在庫が約300トン(9百万オンス)、適格在庫が約500トン(17百万オンス)増加しました。これらの在庫は主にロンドンからニューヨークに移動した金で、米国の関税措置への備えや裁定取引に伴うものと指摘されています。
要約
COMEX金先物は1日あたり2,700万オンスの金が取引される世界最大の金価格指標で、100オンス契約だけで建玉が約45万枚(約4,500万オンス)に達するなど巨大な規模を誇ります。2025年には米国への金流入が大幅に増え、COMEX倉庫の在庫が1,700万オンスから3,900万~4,300万オンスへと急増し、登録金1,990万オンスと適格金1,890万オンスが合わせて市場を支えています。こうした裏付け資産によりCOMEX金先物は物理受渡しの信用を維持しながら、先物市場の巨額取引を可能にしています。

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