ネット銀行は企業の主戦場になり得るか:住信SBI法人口座の長短分析


長所(メリット)

  • 低コストで利用可能
    • 法人間の振込手数料が安いのが最大の強みです。同行宛は無料、他行宛は1件あたり145円程度で、複数件をまとめると1件あたり約130円まで下がります。口座維持手数料もなく、ATM入出金手数料も低く抑えられています。
  • 24時間対応&迅速な口座開設
    • 申込みから手続きまでオンラインで完結し、審査もスピーディーです。オンラインバンキングは24時間稼働しており、急な振込にも対応できます。
  • 高い送金限度額
    • 2023年2月から振込限度額が1日当たり最大1億円へと引き上げられました。振込指定1件の上限も1億円(1万円単位で変更可能)で、一般振込サービスとは別に「総合振込」では最大10億円の送金も可能です。
  • ビジネスメンバー管理
    • 一つの口座に複数の担当者を登録し、権限を設定できるため、振込処理を部門ごとに分担できます。大口振込(1件1000万円超)はマスター利用者の承認が必要で、安全性を確保しつつ作業を効率化できます。
  • その他の付加サービス
    • デビットカードには高い還元率のものがあり、Visaブランドの場合は最大1.0%還元となります。事業者向けローン「dayta」は決算書を使わずにスコアリングが可能で、資金調達の機動性を高めます。また、助成金・補助金の情報提供や会社設立支援、バーチャルオフィスサービス等のサポートも付帯しています。

短所(デメリット)

  • ブランド力や対外信用の弱さ
    • ネット銀行は実店舗を持たないため、老舗の都市銀行と比べて知名度やブランド力が低く、初対面の取引先などからの信用度が劣る場合があります。
  • 現金取扱いの制約
    • ATMからの入出金限度額は1日あたり200万円、月あたり1000万円まで(法人カード利用時)。大口現金入出金には不向きで、大量の現金を扱う企業は不便に感じることがあります。
  • 預金保険の限度と無利息決済預金の不在
    • 預金保険制度の対象は1預金者あたり元本1000万円までで、それを超える部分は金融機関破綻時の弁済が保証されません。住信SBIネット銀行には一部のメガバンクにあるような全額保護の決済用預金がないため、預け入れ額が大きい場合はリスク管理が必要です。
  • スマートフォン利用が前提の機能が多い
    • 口座開設や各種手続きにスマートフォンを利用する場面が多く、PC単体で完結できないことがあります。操作に慣れていない人にとってはややハードルが高く感じられることもあります。
  • その他の留意点
    • デビットカードのポイント還元率や利用条件はカードブランドによって異なります。また口座残高の一部については利息がつかない場合があり、資金の運用面では物足りない面もあります。

弁証法的整理

住信SBIネット銀行の法人向け口座は「低コストで使いやすいオンライン銀行」というテーゼ(正)に対し、ブランド力の弱さや預金保険の制約といったアンチテーゼ(反)が存在します。しかし、これらを総合的に考えると、次のようなジンテーゼ(合)に導けます。

  • コストと利便性を重視する企業にとっては有力な選択肢
    • 振込手数料が低く、振込限度額も高いため、オンライン完結で大量の振込業務を行う企業には大きなメリットがあります。スマートフォン上での操作も迅速で、中小企業やスタートアップにとって魅力的です。
  • 信頼性や対面サービスを重視する企業には不向き
    • ブランド力や対面サポートを求める企業は、都市銀行など既存の銀行と併用する必要があります。大きな現金取引や手形交換、記帳業務が頻繁に発生する場合も、ネット銀行だけでは不十分です。
  • リスク分散が鍵
    • 預金保険の上限(1000万円)を超える資金を預ける場合には、複数の金融機関に資金を分散することが推奨されます。日常の運転資金管理において住信SBIを活用し、資金の安全性は別の金融機関で補完する方がリスク管理上効果的です。

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