テーゼ(基本的な考え方)
法人事業税は道府県が課す地方税であり、法人税や住民税とともに「法人税等」に含まれます。会計上では期中に納付した事業税を費用として計上しますが、法人税の別表4では、税務上の所得金額を算出するために「損金算入のタイミング」が企業会計と異なる点を調整しなければなりません。一般的に、企業会計では期末時点で見積計上した事業税を含めて損金計上しますが、税務上は確定申告書を提出した事業年度にその税金が確定するため、未払事業税は当期の損金と認められません。別表4ではこの差異を調整し、会計上の「税引後利益」を税務上の「所得金額」に組み替える必要があります。
アンチテーゼ(問題点・対立点)
事業税の調整は複雑です。企業会計では「法人税、住民税及び事業税」としてまとめて費用計上しますが、税務会計では期別に細かく処理します。主なポイントは以下です:
- 前期確定事業税の損金算入:前年に確定申告した事業税は、当期に損金として認識するため、別表4では会計上計上していない前期事業税を減算します。
- 当期中間事業税の処理:中間申告で納付した事業税は、当期にすでに費用計上しているため、別表4では一旦加算してから減算する(加算と減算を両方行い相殺する)必要があります。
- 当期確定事業税の処理:当期決算で見積計上した事業税(未払事業税)は損金算入できないため、別表4では加算して税務上の所得から除外します。翌期に確定申告した時点で損金となります。
- 特別法人事業税や外形標準課税分:資本金1億円超の法人では外形標準課税(付加価値割・資本割)があり、これらも申告期限基準で損金算入するため、別表4での調整が必要になります。
こうした複雑な処理は経理実務において誤記や計上漏れのリスクがあり、特に中間納付の扱いを忘れると過大納税や過少納税につながります。また、期末に未払事業税を見積計上しないまま申告すると翌期の損金算入を忘れるおそれがあります。
ジンテーゼ(総合的な整理・結論)
法人事業税の調整は、会計上の費用認識と税務上の損金認識の違いを補正する作業です。基本となるフローは次のとおりです:
- 税引後利益からの逆算:まず損益計算書の税引後利益に会計上費用計上した法人税・住民税・事業税を全て加算し、税引前利益まで戻します。ここで当期中間事業税と当期確定事業税の加算を行います。
- 損金認識済みの事業税を減算:次に前期確定事業税および当期中間事業税を減算します。前期分は当期に損金算入するため減算、中間分は加算と減算で相殺されます。
- 未払事業税の加算:当期見積計上の未払事業税は損金不算入のため、再度加算します。外形標準課税の付加価値割・資本割も同様に加算します。
- 所得金額の算定:上記調整後の金額が税務上の所得金額となり、法人税率を掛けて法人税額を計算します。
このように、企業会計と税務会計のズレを橋渡しするのが別表4の役割です。論理的には「会計では税金費用を早めに認識する→税務では確定後に認識する」という二つの立場(テーゼとアンチテーゼ)を調整し、最終的な課税所得を算出するのがジンテーゼです。実務上は、期中の中間納付や前期の確定申告を漏れなく記録し、別表5(二)と連動させて正確な金額を別表4に転記することが重要です。
要約
法人事業税の別表4調整では、企業会計上の「法人税、住民税及び事業税」費用を税務上の所得計算に合わせるため、前期確定分、中間申告分、当期見積分の扱いを区別して加算・減算します。前期の確定事業税は当期に減算し、中間事業税は一旦加算して同額を減算、当期見積事業税や外形標準課税分は加算して翌期に損金算入します。この調整によって会計と税務のタイミング差を解消し、正しい所得金額を算出できるようにします。


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