論点提示
「電子申告でもeL‑QRが記載された納付書が県税から送付されるか」という疑問は、令和5~7年にかけて全国で導入されたeL‑QR(地方税統一QRコード)の利用拡大と、ペーパーレス化の動きが背景にあります。納付書の扱いは税目や自治体によって異なるため、弁証法的に整理すると理解しやすくなります。
テーゼ(正)
導入当初、県税担当部局はほとんどの県税について納付書にeL‑QRを印刷し、納税者へ発送してきました。自動車税や不動産取得税など「賦課税目」の場合、納税通知書にeL‑QRが記載された納付書が同封され、利用者はスマートフォン決済や地方税お支払サイトを通じてキャッシュレス納付が可能です。これによって金融機関や県税事務所に出向く必要がなくなり、「いつでもどこでも納付できる」というキャッシュレス納付のメリットが広くアナウンスされました。
アンチテーゼ(反)
一方、「申告税目」や法人税関係では電子申告が進み、自治体は環境負荷軽減や行政効率化を理由に紙の申告書や納付書の送付を廃止し始めています。例えば、埼玉県・広島県ではeLTAXで電子申告・電子納付を行った法人に対しプレプリント申告書・納付書の送付を令和2年(2020年)以降取りやめ、Webサイトからダウンロードする方法に切り替えました。新潟県なども、法人県民税・法人事業税等の申告税目ではeL‑QR付き納付書を発行せず、電子申告後はeLTAX共通納税システムで支払うよう案内しています。すでに口座振替の利用登録がある場合も納付書は送付されないのが一般的です。
ジンテーゼ(合)
この二つの動きは矛盾しているように見えますが、税目と納付方法により役割分担がなされています。賦課税目(自動車税、不動産取得税等)では、従来どおり納税通知書にeL‑QR付き納付書が送付され、紙の納付書からキャッシュレス納付まで柔軟に選べます。申告税目(法人県民税・法人事業税や法人市民税など)は、納税者自身が申告額を確定するため、電子申告を行う場合はペーパーレス化が前提となり、納付書は基本的に送付されません。この場合は次のいずれかの方法で納付します。
- eLTAX共通納税システムで電子納付
電子申告後、そのままeLTAXの納付メニューからインターネットバンキングやダイレクト納付を利用できます。eL‑QR付き納付書が無くても納付情報を送信でき、納付結果はメッセージボックスで確認します。 - 県のホームページから納付書様式をダウンロードして紙で納付
広島県や埼玉県は電子納税をした法人向けに納付書PDFを公開し、各自で印刷して窓口や金融機関で納付できるようにしています。事情により紙の納付が必要な場合は県税事務所に相談すると再発行してもらえます。 - 口座振替(ダイレクト方式)を利用する
あらかじめ口座登録をしておけば、納期日に自動引き落としされるため納付書は不要です。登録口座数は自治体により異なりますが、最大10口座まで登録できることが多いです。
要約
- 賦課税目は従来どおりeL‑QR付き納付書が送付され、キャッシュレス納付ができる。
- 申告税目で電子申告した場合、県税の納付書は原則送付されない。環境負荷の軽減とDX推進のため、多くの県が紙の送付を廃止している。
- 納付書が送付されない場合の対応策は、①eLTAXの共通納税システムで電子納付する、②県のホームページから様式をダウンロードして紙で納付する、③口座振替を利用する、のいずれかである。

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