青色申告法人とは
- 日本の法人税申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。
- 青色申告は複式簿記で帳簿を作成・保存し、税務署の承認を受けた法人だけが選択できる制度です。
- 青色申告法人は税率そのものが変わるわけではありませんが、税制上の特典として、欠損金の繰越控除(最長10年間)、赤字の繰戻還付、30万円未満の減価償却資産の即時償却などが利用できます。これにより課税所得を平準化し、長期的には実効税率の引き下げに寄与します。
法人所得課税の構成
法人所得に課される税金は、大きく国税と地方税に分かれます。青色申告かどうかにかかわらず、法人が支払う主要な税目は以下のとおりです。
国税(国に納付)
| 税目 | 概要 |
|---|---|
| 法人税 | 資本金1億円以下の普通法人は所得800万円まで15%、800万円超は23.2%。資本金1億円超は一律23.2%。 |
| 地方法人税 | 法人税額に10.3%を乗じて計算する。2019年の税制改正で法人住民税の税率を引き下げる代わりに創設された。 |
| 特別法人事業税 | 2019年から導入。法人事業税額に税率を乗じて計算する国税だが、納付先は地方自治体。資本金1億円以下の法人は37%、資本金1億円超の外形標準課税法人は260%。 |
地方税(自治体に納付)
| 税目 | 概要 |
|---|---|
| 法人住民税(法人税割) | 法人税額に1%(都道府県民税)と6%(市町村民税)を乗じるのが標準税率。一定規模以上の法人には超過税率があり、東京都では合計10.4%。 |
| 法人住民税(均等割) | 資本金や従業員数に応じた定額税。赤字でも課税されるが、実効税率の計算には含めない。 |
| 法人事業税(所得割) | 事業活動に対して課税される。資本金1億円以下の普通法人では所得区分に応じて3.5〜7.0%で、所得が増えると超過税率が適用される(東京都の例では7.48%)。 |
| 法人事業税(付加価値割・資本割) | 資本金1億円超の外形標準課税法人に課される。付加価値割1.26%、資本割0.525%等で、中小法人には適用されない。 |
実効税率の計算方法
複数の税率を単純に足し合わせた「表面税率」と区別し、実効税率は法人事業税が損金算入される効果を調整して計算します。代表的な計算式は以下の通りです。
実効税率 = {法人税率 × (1 + 地方法人税率 + 法人住民税率) + 事業税率} ÷ (1 + 事業税率)
この式で、分子には法人税と地方法人税、法人住民税を加えた税率を、分母には事業税が損金として控除されることを考慮して1+事業税率で割ります。
東京都23区を例にした資本金規模別の実効税率
1. 資本金1億円以下(標準税率適用)
- 適用税率の目安:法人税23.2%、地方法人税10.3%、法人住民税7%、法人事業税(所得割)7%、特別法人事業税37%など。
- 実効税率の目安:33.58%程度。
- これは表面税率36.8%に対し、法人事業税が損金算入されるため実効税率が下がる計算です。
2. 資本金1億円以下(超過税率適用)
- 収益規模が大きく法人税額が1,000万円超または所得2,500万円超になると、法人住民税や法人事業税の超過税率が適用されます(東京都では住民税10.4%、事業税7.48%)。
- 実効税率の目安:34.59%程度。
3. 資本金1億円超(外形標準課税適用)
- 大企業は付加価値割・資本割が課されます。東京都の場合、法人住民税10.4%、事業税1.18%(超過分)と1.0%(標準分)などで、特別法人事業税は260%。
- 実効税率の目安:30.62%程度。外形標準課税により所得割部分が低くなるため、標準税率よりも実効税率はやや低くなります。
青色申告のメリットと実効税率への影響
- 欠損金の繰越控除:赤字が出た年度の欠損金を翌期以降最大10年間の所得から控除できる。黒字と相殺することで課税所得の平均を下げ、実効税率を低減。
- 欠損金の繰戻還付:赤字を前年度へ繰り戻し、既納付の法人税の還付を受けられる。
- 少額減価償却資産の一括償却:30万円未満の固定資産を購入した場合、取得価額全額を一度に費用計上できる。
- これらの特典は青色申告法人に限定されているため、特に赤字が発生しやすいスタートアップや中小企業では、青色申告によって将来の税負担を軽減する効果が期待できます。
まとめ
- 青色申告法人は税率自体が白色申告法人と同じですが、欠損金の繰越控除や繰戻還付、少額資産の即時償却などの制度により、実質的な税負担を抑えやすい点が特徴です。
- 実効税率は国税(法人税、地方法人税、特別法人事業税)と地方税(法人住民税、法人事業税など)を合算し、法人事業税の損金算入効果を加味して計算します。
- 東京都23区を例にすると、資本金1億円以下の標準税率適用法人で約33.58%、超過税率適用で約34.59%、資本金1億円超の外形標準課税法人では約30.62%が目安となります。
- 税制は毎年改正されるため、最新の法令や国税庁・自治体の情報を確認することが重要です。

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