テーゼ:不動産業者における長期保有物件は棚卸資産
不動産の売買を本業とする会社にとって、所有する物件の目的は「販売」です。即時に売却できるかどうかに関わらず、販売するために保有している以上、会計上は「棚卸資産」に分類します。このため、数年にわたって保有していても流動資産に計上するのが原則です。
- 目的が「販売」:不動産を仕入れ、賃貸や自社使用ではなく売却して利益を得るため。
- 流動資産として扱う:保有期間が長くても、いつでも販売可能な在庫と位置付ける。
アンチテーゼ:資産管理会社の長期保有有価証券は固定資産
一方、投資有価証券の売買を主業とする資産管理会社であっても、すべての有価証券が棚卸資産になるわけではありません。売買目的で短期的に保有するものは流動資産(売買目的有価証券)として扱いますが、長期保有の投資目的や関係会社支配目的などに保有するものは、営業活動に直接利用するわけではないため「固定資産」として処理します。
- 目的が「長期投資」:資本提携や財務安定を目的とする場合、売却による利益を当座の営業収益とはみなさない。
- 非流動性の表現:固定資産に計上することで、資産の流動性や用途が異なることを明確にします。
ジンテーゼ:区分の根拠は「保有目的」と経済的実質
両者を統合すると、分類のポイントは「保有目的」と「経済的実質」にあります。不動産業者にとって物件は商品であり、長く持っていても売却するのが本質的目的ですから棚卸資産として扱うのが自然です。対して資産管理会社の投資有価証券は、短期売買と長期投資の性格が混在します。長期保有分は事業用に使用したり賃貸することはないため棚卸資産にはなりません。これを区別することで、財務諸表において資産の流動性・使用目的・リスクが適切に表現され、投資家や貸し手が企業の実態を理解しやすくなります。
要約
- 不動産業者の場合、物件は販売目的であるため、保有期間にかかわらず棚卸資産とされ流動資産に計上されます。
- 資産管理会社の場合、短期的な売買を目的とする有価証券は棚卸資産として扱いますが、長期保有を目的とする投資有価証券は固定資産(投資その他の資産)に区分されます。
- この違いは、資産の 保有目的と経済的実質 を明確にして利用者に正確な情報を提供するためです。

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