1. 特別分配金とは?
特別分配金(元本払戻金)は、投資信託の分配金の一種で、基準価額の元本部分から支払われる分配金のことを指します。これは、通常の「普通分配金」とは異なり、投資家が得た利益ではなく、自分が投資した資金(元本)の一部を払い戻す形になります。
2. 特別分配金の仕組み
投資信託の分配金には、以下の2種類があります。
分配金の種類 | 説明 | 税制上の扱い |
---|---|---|
普通分配金 | 運用益(利子・配当・売却益)から支払われる | 課税対象(約20.315%の税金がかかる) |
特別分配金 | 元本の払い戻しに相当 | 非課税(税金はかからない) |
分配金の支払いの際、基準価額が「元本を上回っているかどうか」によって、普通分配金と特別分配金が決まります。
- 基準価額 > 元本 → 普通分配金
- 基準価額 ≦ 元本 → 特別分配金
3. 特別分配金の発生例
例えば、以下のような状況を考えます。
- 投資信託の基準価額が 10,000円 のときに購入
- その後の運用で基準価額が 9,800円 に下落
- 分配金として 300円 支払われる場合
この場合、基準価額が購入時より下がっているため、300円の分配金はすべて特別分配金(元本の払い戻し) となります。
4. 特別分配金のメリットとデメリット
メリット
✅ 非課税:特別分配金は課税対象外なので、税金がかからない。 ✅ 手元にキャッシュが入る:定期的に分配金を受け取ることで、資金を自由に使える。
デメリット
❌ 元本が減る:特別分配金は元本の払い戻しなので、資産が実質的に減少 する。 ❌ 長期投資に向かない:特別分配金を繰り返し受け取ると、元本が減少し、将来的な運用益が減る可能性がある。 ❌ タコ足配当のリスク:ファンドが運用益を生み出せず、特別分配金を多く出している場合、実質的に資産を食いつぶしている(「タコが自分の足を食べる」ような状態)。
5. 特別分配金を避ける方法
- 分配金を出さないファンドを選ぶ(再投資型や無分配型の投資信託)
- 運用実績がしっかりしたファンドを選ぶ(利益から普通分配金を出せるファンド)
- 基準価額が安定しているか確認する(元本を上回る水準で分配金を出せるか)
6. まとめ
- 特別分配金は元本の払い戻しであり、非課税だが資産が減る。
- 運用がうまくいっていないファンドでは特別分配金が発生しやすい。
- 長期的な資産形成を考えるなら、特別分配金を多く出すファンドは避けたほうが良い。
オープン型証券投資信託を選ぶ際は、分配金の仕組みを理解し、特別分配金ばかりが出ているファンドには注意することが重要です。
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