以下の表に、ロシアの各年末時点における公式な金保有量をまとめました(単位:トン)。2000年から2005年頃までは400トン前後で推移した後、中期以降に急増しています。特に2014年以降、ロシア中央銀行は外貨準備のドル依存を下げるため金の購入を加速し、金保有量は大幅に増加しました。2018年には2,000トンを超え、その後2020年前後には約2,300トンで安定します。2023年には一時的に過去最高水準に達しましたが、2024年時点ではわずかに減少しています。
年ごとの金保有量一覧
年 | 金保有量(トン) |
---|---|
2000年 | 384 |
2001年 | 423 |
2002年 | 388 |
2003年 | 390 |
2004年 | 387 |
2005年 | 387 |
2006年 | 532 |
2007年 | 548 |
2008年 | 595 |
2009年 | 664 |
2010年 | 807 |
2011年 | 944 |
2012年 | 1,011 |
2013年 | 1,091 |
2014年 | 1,256 |
2015年 | 1,382 |
2016年 | 1,582 |
2017年 | 1,808 |
2018年 | 2,077 |
2019年 | 2,270 約 |
2020年 | 2,299 |
2021年 | 2,299 |
2022年 | 2,299 |
2023年 | 2,350 |
2024年 | 2,336 |
増減の傾向
- 2000年代前半: 約300~400トン台で小幅な増減に留まりました。一時的に減少する年もありましたが(例えば2000年と2002年にやや減少)、この時期の金準備はほぼ横ばい状態でした。
- 2000年代後半: 2006年以降に金保有量が増加に転じます。特に2006年に大きく増え、その後2008年まで毎年着実に積み増されました。
- 2010年代前半: 2010年から2014年にかけて毎年100トン以上のペースで増加しています。これはロシアが外貨準備の多様化を図り、国内で産出される金の中央銀行による買い入れを積極化させたためです。
- 2014~2018年: クリミア危機以降の制裁下でドル資産比率を下げる政策の一環として、金の購入がさらに加速しました。この結果、2018年には金準備が約2,077トンとなり、初めて2,000トンを突破しました。
- 2019~2021年: 増加ペースはやや鈍化し、約2,300トン弱で横ばい状態となりました。2019年は前年度より増えましたが、2018年までの急伸に比べると小幅な伸びです。2020年以降は新規の公式購入が一時停止されたこともあり、ほぼ同水準を維持しました。
- 2022~2024年: 2022年も金保有量はおおむね安定していましたが、2023年には再び増加が見られ、年末時点で過去最大のおよそ2,350トンに達しました。これは金価格の上昇や一部購入再開によるものです。2024年には微減し、約2,336トンとなっていますが、依然として史上最高クラスの水準を維持しています。
以上のように、ロシアの金保有量は2000年代半ばから一貫して増加傾向にあり、特に2010年代後半に大きく伸びました。現在では2000年頃の約6倍に達しており、世界有数の金準備国となっています。
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