NASDAQ100指数 年間リターンの大統領任期4年周期分析

1986年から2024年までのNASDAQ100指数の年間リターンについて、アメリカ大統領任期の4年周期(いわゆる「大統領サイクル」)ごとに分類し、統計的な傾向を分析しました。年間リターンは各年末の指数値の前年末からの変化率(%)で計算しています。分析期間全体で可能な限り長期のデータ(NASDAQ100指数は1985年に算出開始、1986年以降の39年間)を用い、それぞれ以下の4カテゴリに属する年のリターンを集計しました。

  • 大統領選の翌年(Post-Election Year) – 大統領選挙の翌年(例:2017年は2016年選挙の翌年)
  • 中間選挙の年(Midterm Year) – 大統領任期2年目の中間選挙が行われる年(例:2018年)
  • 選挙の前年(Pre-Election Year) – 大統領選挙の前年の年(例:2019年)
  • 大統領選の年(Election Year) – 大統領選挙が実施される年(例:2020年)

各カテゴリについて、年間リターンの平均、中央値、標準偏差、および最小値(最大下落率)・最大値(最大上昇率)を算出しました。以下ではカテゴリごとに結果を示し、最後に全カテゴリを比較する表を提示します。

大統領選の翌年(Post-Election Year)

大統領選挙直後の「翌年」に該当する年は、分析期間中に9年存在しました(例:1989年、1993年、… 2021年など)。NASDAQ100指数のこのカテゴリにおける年間リターンは、概ね堅調な傾向が見られます。平均的に見ると20%前後の高いリターンを示し、大きな下落となった年は少数でした。

  • 平均: 約19.2%(年間リターンの平均値)
  • 中央値: 約26.2%(リターンの中央値)
  • 標準偏差: 約23.0%(リターンのばらつきの指標)
  • 最小値 (最大下落率): -32.6%(最大の下落となった年のリターン)
  • 最大値 (最大上昇率): 53.5%(最大の上昇となった年のリターン)

このカテゴリでは平均約19%と高い成長を示し、特に中央値が26%と平均を上回っています。これは極端な下落の影響を除けば多くの年で良好なリターンが得られたことを意味します。実際、2001年(-32.6%)を除く全ての大統領選翌年が年間プラスのリターンを記録しています。一方で最大値は2009年の+53.5%(2008年の金融危機後の強い反発局面)で、最小値は前述の2001年の-32.6%(ITバブル崩壊の影響)でした。総じて、大統領選翌年は堅調なパフォーマンスを示す傾向があります。

中間選挙の年(Midterm Year)

大統領任期2年目にあたる「中間選挙の年」は、分析期間中に10年あります(例:1990年、1994年、… 2022年など)。NASDAQ100指数のこのカテゴリのリターンは、平均値が他のカテゴリと比べて低く、年ごとの変動が大きいのが特徴です。大幅な上昇と下落の両方が見られ、不安定な傾向と言えます。

  • 平均: 約5.6%
  • 中央値: 約4.1%
  • 標準偏差: 約32.2%
  • 最小値 (最大下落率): -37.6%
  • 最大値 (最大上昇率): 85.3%

中間選挙年の**平均リターンは約5.6%**と4カテゴリ中で最も低く、中央値も約4%とわずかです。標準偏差も32.2%と4カテゴリ中で最大であり、年間リターンの振れ幅が非常に大きかったことがわかります。実際のデータを見ると、下落率の最大は2002年の-37.6%(ITバブル崩壊後の低迷)、上昇率の最大は1998年の+85.3%(ITブーム期の急騰)でした。他にも2018年は僅かなマイナス、2014年は二桁のプラスなど、結果が年によってばらばらです。つまり、中間選挙の年は他の年と比べ安定性に欠け、低リターンまたは調整局面になる傾向が見られます。

選挙の前年(Pre-Election Year)

大統領選挙の前年にあたる「選挙前年」は、分析期間中10年該当します(例:1991年、1995年、… 2019年など)。NASDAQ100指数の歴史を見ると、このカテゴリの年は際立って高いパフォーマンスを示す傾向があります。平均・中央値とも他のカテゴリを大きく上回り、負のリターンとなった例がほとんどありません。

  • 平均: 約39.1%
  • 中央値: 約40.2%
  • 標準偏差: 約29.1%
  • 最小値 (最大下落率): +2.7%
  • 最大値 (最大上昇率): 102.0%

選挙前年の**平均リターンは約39%**と飛び抜けて高く、中央値も約40%に達しています。これはこのカテゴリのほぼ全ての年で非常に良好なリターンが得られていたことを示します。実際、分析期間内の選挙前年は一度も年間マイナスを記録していません(最も低い年でも2011年の+2.7%)。特に1999年には年間+102%というNASDAQ100指数の史上例を見ない大幅上昇が起きています(ITバブル期の急騰)。標準偏差は29.1%と変動も大きめですが、これは主に非常に高い上昇率の年があったためで、リスクはあるものの平均して抜群に良い成績を残す傾向が読み取れます。

大統領選の年(Election Year)

4年周期の最後にあたる「大統領選挙の年」は、分析期間中10年あります(例:1988年、1992年、… 2024年など)。NASDAQ100指数のこの年のリターンは、平均的には一桁台の伸びにとどまりますが、年によって好調な場合と不調な場合が極端に分かれるという読みにくい傾向が見られます。

  • 平均: 約9.2%
  • 中央値: 約12.0%
  • 標準偏差: 約27.7%
  • 最小値 (最大下落率): -41.9%
  • 最大値 (最大上昇率): 47.6%

大統領選挙年の**平均リターンは約9%**と中程度で、中央値は12%となっています。他の年と比較して突出した平均ではありませんが、標準偏差は27.7%とかなり高く、年ごとの振れ幅が大きいことを意味します。実際、2008年には年間-41.9%(世界金融危機による急落)という大きな下落が記録された一方、2020年には+47.6%(パンデミック下での急反発)という大幅上昇も見られました。このように、選挙年のパフォーマンスは経済情勢や市場サイクルに左右されやすく、非常に好調な年と不調な年が混在する傾向があります。

カテゴリ間の年間リターン比較

上記の分析結果をまとめ、各カテゴリの年間リターンの統計値を比較表に整理しました。

指標大統領選翌年中間選挙年選挙前年大統領選挙年
平均 (Mean)19.2%5.6%39.1%9.2%
中央値 (Median)26.2%4.1%40.2%12.0%
標準偏差 (Std Dev)23.0%32.2%29.1%27.7%
最小値 (最大下落)-32.6%-37.6%2.7%-41.9%
最大値 (最大上昇)53.5%85.3%102.0%47.6%

傾向: 上表から、NASDAQ100指数の年間リターンは大統領選の前年(Pre-Election Year)に最も高いパフォーマンスを示し、次いで大統領選の翌年(Post-Election Year)が良好であることが分かります。一方、中間選挙年(Midterm Year)は平均・中央値ともに最低水準で、マイナスの年も多くボラティリティ(変動幅)が最大となっています。大統領選挙年(Election Year)は中間的な成績で、プラスの年が多いものの、大きな下落を経験する可能性もある不安定なカテゴリと言えます。総じて、4年周期の中では「選挙前年」が群を抜いて好調であり、「中間選挙年」が最も弱い傾向が歴史的データから明らかになりました。このパターンは一般に知られる「大統領サイクル効果」と一致しており、特にNASDAQ100指数ではその傾向が顕著であることが示唆されます。

要約

NASDAQ100指数(1986年~2024年)の年間リターンを大統領任期4年周期で分析した結果、以下の傾向が明確になった。

  • 大統領選の翌年(1年目)
    平均リターン19.2%、中央値26.2%と高水準で概ね好調。金融危機後の反発など大幅上昇も見られる一方、ITバブル崩壊の影響で大きな下落を記録した年もある。
  • 中間選挙の年(2年目)
    平均リターン5.6%、中央値4.1%と最も低迷し、標準偏差が最大(32.2%)で非常に不安定な年。大幅な上下動が多く、マイナスリターンも頻発。
  • 選挙の前年(3年目)
    平均リターン39.1%、中央値40.2%と飛び抜けて好調。分析期間中マイナスの年はなく、NASDAQ100の歴史的に最も好調な年である。
  • 大統領選の年(4年目)
    平均リターン9.2%、中央値12.0%と中間的だが、標準偏差が高く(27.7%)、経済状況により好不調が分かれる傾向。金融危機時の大幅下落やパンデミック時の急上昇など極端な年も存在。

総じて、NASDAQ100指数は大統領選の前年が際立って好調で、中間選挙年が最も低迷・不安定である傾向を明確に示した。

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