トルコでは物価上昇と通貨リラの下落が長期化している。2025年12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比30.89%上昇し、主要な上昇要因は食料・非アルコール飲料、住宅、輸送など日常生活に密着した部門だった。月次でも0.89%上昇し、市場予想を下回ったとはいえ、インフレ率は依然高水準にある。
テーゼ:高インフレの持続
インフレの背景には、断続的な金利引き下げと通貨安がある。2025年には政策金利が47.5%から38%まで段階的に引き下げられ、リラ安を招いた。輸入物価の上昇が国内価格に波及し、食品や住宅費、交通費が大きく値上がりした。また最低賃金の大幅引き上げや公的部門の給与調整が内需を刺激し、物価上昇圧力が残っている。
アンチテーゼ:金蓄積の拡大
このような高インフレへの防衛策として、人々と中央銀行は金を大量に保有している。中央銀行推計では、家計の保有金は約5,000トン(推定5,000億ドル)に達するとされ、金価格の高騰によって家計の名目資産は膨らみ、消費を刺激する「富裕効果」を生んでいる。中央銀行自身も金準備を増やし、2025年第3四半期には公式金準備が641.28トンと過去最高に達した。しかし2025年末の準備増加の多くは金価格の上昇による評価益で、外貨準備はむしろ減少している。
ジンテーゼ:相互作用と課題
高インフレは金需要を押し上げ、金蓄積は外貨準備の見た目を支える。この構図は一方で、輸入規制による価格差拡大が密輸や不透明な資本流出を招き、実質的な外貨準備を減少させるという逆作用を生んだ。また金保有の増加が消費意欲を高め、インフレ鎮静化を難しくする面もある。インフレ抑制には、金準備に頼りすぎず金融政策の信頼回復や構造改革を進めること、家計の金を金融システムに取り込む制度整備、密輸を招かない輸入政策の見直しが必要である。
要約
トルコのインフレ率は2025年末に30.89%と高止まりしており、通貨安と賃金上昇が主因である。対抗策として家計と中央銀行が金を大量に保有し、中央銀行の金準備は過去最高水準に達している。しかし金準備の増加の大半は価格上昇による再評価であり、外貨準備は減少し、密輸や資本流出も誘発している。金蓄積は一時的な安定要因である一方、富裕効果によるインフレ圧力も生むため、総合的な政策対応が求められる。

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