- 米財務省は2020~2021年のパンデミック対応で短期・中期の国債を大量に発行したため、2025~26年に償還期を迎える債券が多いのは事実です。デロイトの分析によれば、2025年末までに市場で流通する国債の約3分の1に当たる9.2兆ドルが償還期限を迎え、さらに約9兆ドルが2026年に償還されます。またペーターソン財団は、2025年4月~2026年3月の間に約9.3兆ドルの公債が満期を迎えると指摘しています。ダブルラインのレポートでは、2025年7月末現在で発行済みの国債約28.95兆ドルのうち、2026年に満期を迎えるのは約4.175兆ドルだと試算しています。
- しかし、これらの巨額債務は「一括返済」されるわけではなく、通常どおり再発行(借り換え)されます。国債の主要な買い手はマネー・マーケット・ファンドや金融機関、保険会社、外国政府などで、満期を迎えた資金は再び国債に投資されるのが一般的です。インベスティング・ドットコムの解説では、2026年に満期を迎える約10兆ドルの国債は「約10兆ドルの投資需要」で支えられるため、満期分の調達が直ちに問題になるわけではないと説明しています。
- 重い短期債の償還は金利上昇局面では財政コストを押し上げます。ペーターソン財団は、2022年3月~2024年9月に2.1兆ドルの債務が高金利で借り換えられ、2025~26年に償還される9.3兆ドルのうち3.1兆ドル超は過去2年以上前に発行されたもののため、再発行時の利息が上昇する可能性を指摘しています。とはいえ米財務省は平均償還期間を伸ばす取り組みも進めており、2025年6月時点で市場型公債の加重平均満期は72か月と、2009年の低水準より長くなっています。
要するに、2026年に償還期を迎える米国債は数兆ドル規模に上りますが、これは過去数年の短期債発行の結果であり、市場における通常の借り換えによって処理されます。償還額の大きさだけを取り上げて「危機」と煽るのは正確ではなく、より重要なのは借り換え時の金利水準と財政支出の持続可能性です。

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