青色申告法人(青色申告を採用する法人)は日本の大半の法人を指し、損失の繰越控除などのメリットがある。しかし法人税率は「青色申告」そのものによって変動するわけではなく、資本金や所得額、法人の種類(普通法人・協同組合等)に応じて国税庁の法人税法で定められている。以下では2026年5月現在の法人税率を、所得区分別・法人別に整理した。なお、法人税率は将来の税制改正で変更される可能性があるため、最新の公的資料で確認することが望ましい。
1. 普通法人(株式会社等)の法人税率
a. 中小法人(資本金1億円以下)
青色申告の普通法人で資本金が1億円以下(大法人の完全子会社や連結納税を適用していないことが条件)の場合、所得800万円以下部分に軽減税率が適用される。国税庁の案内によれば、基本税率は19%であるが、2025年度税制改正により軽減税率15%が2026年度まで延長されている。
| 所得区分 | 法人税率 | 適用条件・補足 |
|---|---|---|
| 800万円以下 | 15 %(軽減税率) | 資本金1億円以下の中小法人に適用される特例。適用期間は事業年度開始が2027年3月31日まで。大法人の完全子会社や過去3年の平均所得が15億円超の法人は適用外で、基準税率19%が適用される。 |
| 800万円超 | 23.2 % | 標準税率。中小法人でも、800万円を超える部分には一般税率がかかる。 |
| 所得が10億円(1,000百万円)超の中小法人 | 17 %(800万円以下部分)、23.2 %(800万円超) | 2025年度税制改正で導入。年800万円以下の部分の税率が15 %→17 %に引き上げられる。対象は単年度の所得が10億円超の中小法人で、2025年4月1日以後に開始する事業年度から適用。 |
ポイント
- 軽減税率の適用期限 – 2025年度税制改正により、15 %の軽減税率は2027年3月31日までに開始する事業年度まで延長された。期限後は基準税率19 %に戻る可能性がある。
- 適用除外事業者(大法人の完全子会社等) – 過去3年間の平均所得が15億円を超える法人や、グループ通算税制(旧・連結納税)適用法人は軽減税率の対象外となり、年800万円以下の部分も19 %課税される。
- 地方税を含めた実効税率 – 中小法人が東京都内に所在する場合、法人住民税・事業税などを含めた実効税率は所得800万円以下部分で約22.4 %、800万円超部分で約**36.8 %**と試算されている。所在地によって若干異なるが、法人税率(国税)だけでなく地方税も負担に含まれる点に注意。
b. 大法人(資本金1億円超)
資本金が1億円を超える普通法人は、軽減税率の対象にならず、一律**23.2 %**が課される。
2. 協同組合等の法人税率
協同組合や消費生活協同組合等は、一般の普通法人とは異なる税率が設定されている。国税庁の「法人税の税率」では以下のように定められている。
| 法人の種類 | 所得区分 | 法人税率 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 協同組合・農協・漁協など(普通法人以外) | 800万円以下 | 15 % | 2025年度税制改正により、所得10億円超の事業年度では下表に示す「特例税率」17 %が適用される。 |
| 800万円超 | 19 % | 一般税率。単年度の所得が1億円(100百万円)を超える大規模協同組合は22 %に引き上げられる。 | |
| 所得10億円超の協同組合 | 800万円以下 | 17 % | 2025年4月1日以後開始の事業年度から適用。 |
| 800万円超 | 22 % | 大規模協同組合等への課税。 |
3. 公益法人・一般社団法人の法人税率
公益社団法人・公益財団法人・一般社団法人等は、収益事業に該当する所得に対してのみ法人税が課される。国税庁による税率は次のとおり。
| 所得区分 | 法人税率 | 補足 |
|---|---|---|
| 800万円以下 | 15 % | 収益事業のみ課税対象。青色申告の有無にかかわらず適用される。2025年度改正により所得10億円超の場合は17 %。 |
| 800万円超 | 23.2 % | 公益法人等でも一般税率が適用される。 |
4. 特定医療法人の法人税率
特定医療法人(社会医療法人等)は一般の医療法人より低い税率が設定されている。国税庁によると、
| 所得区分 | 法人税率 | 補足 |
|---|---|---|
| 800万円以下 | 15 % | 所得10億円超の場合は17 %に引き上げられる。 |
| 800万円超 | 19 % | 一般の医療法人は非課税ではない点に注意。 |
5. 防衛特別法人税(2026年4月開始)
2026年4月1日以後に開始する事業年度から、法人税額に対して追加で「防衛特別法人税」が課される。国税庁の説明では、次の要領で算定される:
- 法人税額(所得税額控除等を適用しない額)から年500万円の基礎控除を差し引く。
- 差し引いた残額に**4 %**の税率を乗じた金額が防衛特別法人税額となる。
この制度は大規模法人を主な対象としており、法人税額が年500万円に満たない中小企業では課税されない場合が多い。ただし、防衛特別法人税額が0円であっても申告書の提出は必要となる。
6. 青色申告のメリットと税率への影響
- 青色申告は税率を変える制度ではない – 青色申告法人とは、一定の帳簿付けや申告義務を満たすことで税務上の特典(欠損金の繰越控除など)が受けられる法人であり、上記の法人税率は「青色申告」かどうかに関わらず適用される。
- 繰越欠損金控除 – 青色申告法人は欠損金の繰越控除を原則10年間利用できる。また欠損金の繰戻し還付などのメリットがある。税率の表と合わせて、青色申告による節税効果を検討すると良い。
まとめ
- 青色申告法人の法人税率は資本金と所得額によって区分される。**中小法人(資本金1億円以下)**では、所得800万円以下部分に15 %の軽減税率が適用され、800万円超の部分には23.2 %が課される。2025年度税制改正では、年所得10億円超の中小法人に対して800万円以下部分の税率が17 %に引き上げられる特例が導入された。
- 協同組合・公益法人・医療法人などはそれぞれ異なる税率が設定されており、大規模な法人には22 %や17 %への引き上げが存在する。
- 国税(法人税)の他に、地方税(法人住民税、事業税、特別法人事業税)や2026年開始の防衛特別法人税があり、実際の税負担は所在地によって変動する。具体的な税額を計算する際は、最新の税制改正情報とともに地元自治体の税率も確認することが重要である。

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