「最も儲かるのは鉱山株」なのか:操作論とファンダメンタルズの対立


命題:貴金属市場と鉱山株は操作されている

金・銀・プラチナといった貴金属市場では、実際に違法取引や価格操作が摘発された事例が存在します。例えば欧米の大手銀行が長期間にわたり金価格を不正に操作していたとする集団訴訟が提起されており、プラチナ・パラジウム市場でも大手金融機関が顧客情報の共有や見せ玉注文によって価格を抑制したとして和解金を支払いました。米国司法省は特定の銀行に対し先物市場での大量の見せ玉注文(スプーフィング)を摘発し、多額の罰金と被害者への賠償を命じています。

銀市場については、先物取引に大規模なショートポジションが存在し、現物供給に比べ過剰な建玉が価格を抑え込んでいるという意見があります。投資家の一部は、当局による罰金の一部でしか不正が抑止されておらず、ショートポジションが解消されれば価格は急騰するとの見方を示しています。鉱山株では、裸売りやアルゴリズムによる過剰な空売りが小型鉱山株の資金調達を阻害し、時価総額を大幅に減少させているという業界側の訴えもあります。

反対命題:操作は限定的であり、価格はファンダメンタルズで決まる

一方で、市場全体が恒常的に操作されているという主張には疑問も多いです。米商品先物取引委員会(CFTC)は銀市場の徹底的な調査を行ったものの、法的措置を取るべき証拠はないと結論づけました。多くの操作訴訟が裁判所で棄却または和解に至ったことから、裏付けの弱さが指摘されています。市場研究者は、価格は需給関係や金利、通貨動向など基本要因によって決まり、陰謀論的な操作説は統計的検証や論理性を欠くと指摘します。

鉱山株についても、規制当局は裸売りを違法とする一方で、広範な不正の証拠はないとしており、ショートセールは株価形成に不可欠な面もあるため全禁止には慎重です。鉱山株が商品価格に比して割安なことは、運営コストや産業特有のリスクに対する市場評価の結果であり、必ずしも操作の産物ではありません。実際には、金価格が上昇しても採算性や経営リスクへの評価が厳しいため、株価が遅れて反応するケースも多いのです。

総合的評価

過去の貴金属市場における不正取引や短期的な価格操作は事実として認識すべきですが、それをもって市場全体が恒常的に操作されていると結論づけるのは行き過ぎです。違法行為は当局による罰則や和解金によって是正されており、長期的な価格は需給や金融政策、地政学リスクといった多様な要因が左右します。鉱山株に関しても、空売りの規制や情報開示の強化は必要ですが、構造的に安値に放置されている理由には投資家心理や経営リスクが大きく関与しています。


要約

  • 貴金属市場では過去に銀行などが価格操作を行い罰金を科された例があり、短期的な不正は存在した。
  • しかし、監督当局の調査では市場全体の恒常的な操作を示す十分な証拠は見つからず、多くの訴訟は棄却または和解で終わっている。
  • 鉱山株を巡っては裸売りへの批判があるものの、規制当局は大規模な不正を確認しておらず、株価が割安に見えるのはリスク評価や投資家心理による面が大きい。
  • 全体として、過去の不正を踏まえつつも、長期的な価格や投資判断はファンダメンタルズや規制環境に基づいて行うべきであり、陰謀論に依存した期待は危険である。

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