保証金は、賃貸人が賃借人から無利息で預かる資金であり、契約終了時には返還義務があるため本来は所得ではありません。しかし長期間無利息で預けられること自体が資金的価値を持つため、国土交通省の税務解説では保証金の運用益を「経済的利益」と定義し、保証金と基準利率を用いた複利現価率との差額で求めています。国税庁は、この経済的利益の取り扱いを保証金の運用方法で分類しており、特に事業用資金として運用される場合には利息相当額を収入と必要経費に同額計上する「両建て経理」を求めています。
両建て経理の意義
- 経済的利益の可視化と課税公平の確保:保証金は返還義務を伴う負債である一方、無利息で調達できる資金として事業に役立ちます。その利息相当分を収入に計上しないまま放置すると、事業者が無償の資金供与を受けた事実が会計上反映されません。両建て経理では利息分を収入として計上することで経済的利益を可視化し、同額を経費に計上することで利益と税負担を増減させないため、公平性が保たれます。
- 弁証法的な調整:保証金は返還すべき「負債」(テーゼ)でありつつ、無利息で事業に投入できる「資本」(アンチテーゼ)という矛盾を抱えます。両建て経理は、この矛盾を統合するシンテーゼとして機能し、経済的利益を収入と経費の両面から認識することで、保証金の資本性と負債性を同時に表現します。
- 他の運用形態との差異の明確化:保証金を金融資産に預けた場合は実際の利子所得が課税されるのに対し、事業用資金として運用した場合は両建て経理によって実質的な課税が生じません。この処理は運用方法による課税の違いを調整し、中立性を確保します。
要約
保証金を業務用資金として運用する場合、税法上その利息相当分を「経済的利益」として収入に計上し、同額を必要経費に計上する両建て処理が求められます。これは、返還義務を負う保証金が無利息で運用されることによる経済的価値を可視化しながらも、資本の調達コストとして相殺することで実質的な所得の発生を防ぐためです。弁証法的に見ると、保証金が「負債」と「資本」という対立する性質を併せ持つことから、両建て経理はその矛盾を統合する解決策であり、会計と税務において公平性と整合性を保つ役割を果たしていると言えます。

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