テーゼ(申告期限基準の意義)
法人事業税や消費税など、自ら税額を計算して申告・納付する「申告納税方式」の税目は、法人税法上では申告書を提出した事業年度において損金算入することとされています(申告期限基準)。これは、税額が確定しない段階では損金と認めないという課税公平の考え方に基づくもので、計上額を正確に確定するために行政上の手続(申告)が必要とされます。また、納付額の把握が容易になるため、税務調査や徴収の実務においても合理性があります。
アンチテーゼ(申告期限基準の問題点)
一方、企業会計の観点からは、発生主義に基づいて期末時点で見積計上した税金を費用として処理するのが一般的です。申告期限基準を採用すると、会計上は費用と認識している事業税が税務上は損金不算入となり、翌期になって初めて損金化されます。こうしたタイミング差は、税効果会計や納税額の予測を複雑にし、決算と申告の整合性を損なうと指摘されます。また、未払税金として計上した額が翌期に損金算入されるという処理は、継続的に発生する事業税の経済的実態を適切に反映しているとは言い難い、という批判もあります。
ジンテーゼ(調整・妥協点)
申告期限基準をめぐる論点の調整には、会計と税務の目的の違いを理解した上での現実的な対応が必要です。法人税法では、確定後の金額を損金とすることにより課税の公平性と行政の簡便性を確保していますが、企業会計では発生主義を重視します。そのため、法人税の別表で調整を行い、会計上の費用を税務上の損金に再構成するプロセスが重要になります。さらに、原材料に含まれる税のように未払計上している場合には当期の損金と認めるなど、一定の例外も設けられています。こうした制度運用により、制度の趣旨を損なわずに実務上の負担を軽減する工夫がなされています。
要約
申告納税方式の税目については、申告書提出時に税額が確定するため、法人税法上ではその事業年度に損金算入する「申告期限基準」が採られている。これは税額確定の明確性や徴収の効率性を重視した制度である一方、発生主義の会計処理との間にタイミング差を生み、決算と税務の調整を必要とする。会計上の未払計上を認める例外規定を設け、別表調整で発生主義との差異を埋めるなど、制度の趣旨と実務のバランスをとる工夫がなされている。

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