金本位制は復活するのか:中国・BRICS・XRPLを巡る期待と現実

テーゼ:脱ドル化と金本位制復活の可能性

  1. 中央銀行の金積増し
    世界各国の中央銀行は近年、ドルへの依存を減らすため金準備を積み増している。この流れから、中国が金本位制に近い国際通貨システムを提案するのではないかとの憶測が生まれている。
  2. 日本とインドの秘密会談
    日本とインドは2026年1月、外相レベルで非公開の“テート・ア・テート”会談を行い、サプライチェーン強化や経済安全保障について議論した。この密室外交が新通貨システム準備の証拠と見なされることもある。
  3. EUとアジアの取引
    ダボス会議で欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、インドとの自由貿易協定を「史上最大の取引」と呼び、EUが中国とも貿易したいと発言した。欧州がアジアにシフトし、中国やインドと協調してドル支配に挑むと解釈する向きもある。
  4. XRPLへの期待
    一部の暗号資産コミュニティは、BRICS諸国の銀行がRippleのXRPLを試験していると主張し、フィル・クォック氏はトークン化された金がXRPLに導入されると述べている。XRPLは中立的な決済レールであり、BRICS全体の流動性を取り込む潜在力があるというのが支持者の論理である。

アンチテーゼ:現実との乖離

  1. BRICS共通通貨への否定
    ブラジルが議長国となった2025年のBRICSサミットでは、ブラジル経済相が「共通通貨を推進しない」と明言し、インド外相も「BRICS通貨の構想はない」と否定している。加盟国は自国通貨での貿易決済促進やブロックチェーンによる効率化を目指しているが、金本位の国際通貨導入の計画は示されていない。
  2. 欧州の対中関係の現実
    2025年7月のEU中首脳会談でフォン・デア・ライエン委員長は、EUと中国の関係が「岐路にある」と述べ、中国の不公正な貿易慣行や巨大な貿易赤字に懸念を表明した。EUはインドとの歴史的FTAを重視しており、中国との関係拡大よりも公平な競争条件の確立を求めている。
  3. 日本・インド会談の内容
    日本外務省の公表によれば、日本とインドの秘密会談は防衛協力や経済安全保障、サプライチェーン強化が中心であり、通貨や決済レールの議論は行われていない。両国は10兆円規模の投資を目指しAIや宇宙開発の協力を強調している。
  4. XRPL採用の現状
    暗号資産取引所の分析や報道によれば、BRICS諸国がXRPLを国家決済レールとして採用した例はなく、多くの中央銀行は自国のデジタル通貨(CBDC)やBIS主導の「mBridge」など独自のクロスボーダー決済プラットフォームを試験中である。Meld GoldがXRPL上で金・銀トークンを提供し始めたのは事実だが、これは投資家向けの民間プロジェクトであり、国家通貨としての採用とは無関係である。

総合評価(シンテーシス)

噂の背景には、世界経済の多極化やドルへの依存軽減を目指す動き、そしてブロックチェーン技術に対する期待がある。中国は人民元の国際化を推進し、BRICS諸国も貿易決済で自国通貨を利用しようとしている。EUはインドとの大型自由貿易協定を推進し、日本もインドと経済安全保障の協力を深めている。また、デジタル資産やXRPL上のトークン化された金は、資産のデジタル化という潮流を象徴する。

しかし、現時点で中国が金本位の国際通貨制度を提案しているという信頼できる証拠はなく、BRICS諸国がXRPLを公式な決済基盤として採用している事実もない。EUはインドとのFTAに注力し、中国に対しては市場アクセスの改善を求めるなど慎重な姿勢である。したがって、これらの噂は事実の一部や技術的な試行を拡大解釈したものであり、現在の国際経済秩序を直ちに大きく変えるような動きは確認されていない。

要約
・中国が金本位制の新通貨を提案するという噂は公的情報に裏付けられていない。
・BRICS諸国はドル依存の緩和を目指すが、共通通貨やXRPL採用を否定している。
・EUはインドとの自由貿易協定を重視し、中国との貿易は公正な競争条件を求めている。
・日本とインドの秘密会談は経済安全保障やサプライチェーン強化が中心で、通貨の議論はない。
・XRPLでの金トークンは民間プロジェクトであり、国家決済システムとは関係がない。

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