受験生時分には東大志望だった私が、慶應商学部が大好きになってしまった経緯を話したい。
確かに、大学受験は仲間と磨き上げた能力を世に問う絶好の機会であるため、その競技性から少しでも難関及び名門の大学、学部を志向することは否めない。また、一般的に文系就職においては、大学名での選別はあるが出身学部の影響は少ないと言われるが、慶應商学部よりも歴史と伝統のある名門の経済学部の方が、就職実績が良い。よって、名門大学、学部の方が優秀な仲間に恵まれる可能性が高いと言える。しかし、慶應においては比較的新設の学部で入学難易度も低いとされる商学部でも、卒業生との繋がりや専門科目の充実といった慶應の恩恵を受けられることに変わりはない。
まず、卒業生との繋がりである。体育会に所属することで得られる人間関係やOBOG訪問等、名門大学固有の恩恵については無論受けられる。一方で、教育課程においてもOBOGとの繋がりが組み込まれている。半年間慶應出身の社長の話を聞くだけの単位、広告においても電通や博報堂等、現場の最前線で活躍する卒業生の講義等が今でも記憶に残っている。他にも有名企業協賛の講義が多くあり、これほど卒業生を身近に感じられる大学も少ないだろう。
次に、専門科目の充実である。三田に移ってからの専門科目の充実は素晴らしい。私は商学(経済学、経営学、会計学、商業学)の中でもとりわけ会計学に熱中していたのだが、三田の会計科目の充実ぶりに興奮したものである。会計は財務会計、税務会計、管理会計からなるのだが、すべての分野において選りすぐりの教員が揃えられている。中には公認会計士の試験委員も含まれる。そのような優れた教員による興味のある学問の本質に触れる講義は、人生において至高の時間だったと今にして思う。
よって、慶應商学部をお勧めしたい。その体験や学びが今に生きているからである。卒業後幸いにも税務会計の職を得られ、今は零細企業の社長として税務会計の実務を行っている。もちろん、会計の知識は、経済活動の理解や投資にも役立つ。また、慶應は語学の教育課程も洗練されていて、授業で視聴していたBBCを今でもYouTubeで視聴する習慣が残っている。国家を背負う人材を育成する東大経済学部は自分の身の丈に合っておらず、今にして慶應商学部こそが私の第一志望であったと確信している。
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