中国の金比率7.7%は真実か:公式統計と隠し金

正(テーゼ):「7.7%は妥当」

中国が金保有比率として公表する7.7%は、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)や国際通貨基金(IMF)が発表する公式統計に基づく数字であり、人民銀行が公に報告している保有量を基準に算出されています。PBOCは近年毎月の金購入を報告しており、その結果として比率が5.5%(2024年末)から7.7%(2025年9月末)へ上昇したという推移は整合的です。外貨準備高が3兆ドル超という規模を考えれば、約2,300トンの金保有量で7〜8%という数字は算術的にも自然です。そのため、公式データとしては7.7%という比率は信頼できる数値とみなすことができます。

反(アンチテーゼ):「過小申告の可能性」

一方で、中国の金保有量については以前から「実際はもっと多いのではないか」との指摘があり、7.7%という比率自体が過小評価である可能性があります。中国は金購入の詳細な内訳や保有場所を公開しておらず、商業銀行などが保有する金を国家備蓄に含めていないという見方もあります。また、ロシアがSWIFTから排除される前に金準備を着実に増やしていたように、中国も対米制裁リスクに備えて非公開で金を蓄積しているとの推測が広がっています。資本規制や情報統制が強い中国においては、海外に保管された金の把握が難しい面もあり、公式発表だけを鵜呑みにできないという批判も存在します。

合(ジンテーゼ):「公式データをベースにした現実的推定」

このように、公式の数字には信頼性がある一方で過小申告の可能性も否定できないため、「7.7%はあくまで最低限の目安」と考えるのが現実的です。実際の金比率は金価格の変動や未公表の購入を考慮すれば若干高いかもしれませんが、3兆ドル規模の外貨準備の中で現行以上の大幅な金比率を示すには相当の追加購入が必要です。中国はドル依存を減らしつつも外貨流動性を維持する必要があり、他通貨・債券とのバランスを取る戦略をとっています。従って、7.7%は公的データとしては信用できる数字であり、実際にはそれよりやや高い程度の幅を持って見ておくべきでしょう。

要約

中国の金比率7.7%は、PBOCが公表する金保有量と外貨準備高に基づき算出されるもので、公式統計としては信頼性があります。一方で、中国が戦略的な理由から非公開で金を蓄積している可能性や、商業銀行保有分を含めた実際の金比率が若干高い可能性も指摘されています。したがって、7.7%という数字は最低ラインと考え、実際にはそれより少し高い余地があるものの、急激に10〜20%台に達するような過大な誤差を示唆するものではないと見るのが妥当です。

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