序論
2026年は米国の中間選挙の年であり、ウォール街には「1月の動向はその年の相場を占う」という格言があります。この考え方は「1月相場(January Barometer)」と呼ばれます。1950〜2023年のデータでは、S&P500が1月に上昇した年は約73%、平均上昇率は約1.1%であり、1月がプラスだとその年もプラスに終わる傾向が強いとされます。とはいえ、このアノマリーは常に同じように機能するわけではなく、特に中間選挙の年は政治的不確実性や政策変更への懸念から予測力が低下する可能性があります。
正:1月アノマリーの有効性
1月相場の有効性を主張する側では、以下の点が挙げられています。
- 高い的中率:Stock Trader’s Almanacによると、1972年に提唱された1月バロメーターは1950年以降わずか12回しか大きな失敗がなく、およそ83.8%の正確性を示しています。1月がプラスなら年間も上昇する確率は約87%とされます。
- 平均パフォーマンス:1950年以降、1月は平均で約1.1%の上昇を記録しており、1月がプラスだった年の年間平均上昇率は約17%です。
- 1月トリフェクタ:サンタクロース・ラリー、年初5日間の動向、1月バロメーターの3指標がすべてプラスだった場合、S&P500は32年中29回(約90.6%)上昇し、平均上昇率は17.7%に達しました。
こうした統計は、1月アノマリーが投資戦略上有用であることを示す根拠となっています。
反:1月アノマリーへの批判と中間選挙の特殊性
一方で、アノマリーの有効性に疑問を呈する反論も存在します。
- 効果の弱体化:近年は1月効果が弱まっているとされ、投資家がこのパターンを意識するほど優位性が薄れていくと指摘されます。
- 外的要因の影響:経済・金融政策などの外部要因が株価に大きく影響するため、1月だけの動きでは年間の相場を反映しにくいとされています。例えば、中間選挙前年(大統領任期の2年目)は平均リターンが0.3%にとどまり、通常年の平均8.1%を大きく下回ります。
- 過去の失敗例:ベトナム戦争や9/11、イラク戦争、金融危機、米中貿易戦争など外部ショックによって1月と年間の方向性が逆になった例があり、特に2001年以降に失敗例が集中しています。
- 中間選挙の特殊性:中間選挙の年は不安定で、1月バロメーターの的中率が低いことも指摘されています。過去60年の中間選挙年では、選挙前年のリターンが低い一方、選挙後の12か月の平均リターンは大きく伸びる傾向があり、選挙に向けた不透明感の強い1月は方向性を示しにくいと考えられます。
合:統合的視点と2026年への示唆
1月アノマリーは長期データに基づく興味深い指標であり、1月がプラスなら年間もプラスになる傾向が強いことは事実です。しかし、政策や地政学リスクなどの外部要因によって容易に覆されるため、特に中間選挙の年は過信すべきではありません。
2026年の1月相場については、以下のように解釈できます。
- 1月が株高の場合:歴史的に年間も株高となる確率は高いものの、中間選挙の年は的中率が低いため、過度な期待は禁物です。
- 1月が株安の場合:過去には1月に下落しても年央以降に反発するケースが多く、選挙後のリターンが大きい傾向があるので、短期的な下落を過度に悲観せず長期視点で考える必要があります。
- 総合判断:1月のデータは参考情報として用い、経済指標や企業業績などのファンダメンタルズを重視し、分散投資とリスク管理を心がけるべきです。
要約
1950年以降、1月に平均1.1%上昇し、1月がプラスの場合に年末まで上昇する確率は約87%に達します。そのため「1月相場がその年を占う」という格言がありますが、外部要因や中間選挙の年特有の不確実性を考えると、1月アノマリーを絶対視することはできません。2026年の1月が上昇しても下落しても、外部環境とファンダメンタルズを総合的に判断し、長期的な投資戦略を構築することが重要です。

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