DCF法(割引キャッシュフロー法)は、企業の将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて、株価の理論的な価値を求める方法 です。
基本の数式
DCF法の基本的な数式は以下のとおりです。
$企業価値 = \sum_{t=1}^{n} \frac{FCF_t}{(1+r)^t} + \frac{TV}{(1+r)^n}$
ここで、
- FCFt : t年目のフリーキャッシュフロー(Free Cash Flow)
- r : 割引率(通常は加重平均資本コスト(WACC)を使用)
- TV : ターミナルバリュー(将来の価値のまとめ)
- n : 予測期間の年数
数式の意味を分解して理解
- 各年のフリーキャッシュフロー(FCF)を計算
- 企業が本業で生み出す現金(FCF)を計算
- 例えば、FCF = 税引後営業利益 + 減価償却費 – 設備投資 – 運転資本増加
- FCFを現在価値に割り引く
- 将来の1円は今の1円より価値が低いので、割引率 r を使って現在価値に直す
- 例:3年後に100万円を受け取る場合、割引率10%なら、 $\frac{100}{(1.1)^3}$ = 75.1万円
- ターミナルバリュー(TV)を加える
- 予測期間以降のキャッシュフローの価値 をまとめて計算する
- 一般的な計算方法: $TV = \frac{FCF_{n+1}}{r – g}$
- g : キャッシュフローの成長率
株価を求める
企業価値が求まったら、株価に換算する。 $株価 = \frac{企業価値 – 純負債}{発行済株式数}$
- 純負債 = 総負債 – 現金・現金同等物
- 発行済株式数 = 会社が市場に出している株数
具体例
例えば、以下の前提で企業価値を計算してみます。
- FCFの推移
- 1年目:10億円
- 2年目:12億円
- 3年目:14億円
- 割引率:10%
- ターミナルバリュー(永久成長率 g = 2%):15億円
- 純負債:20億円
- 発行済株式数:1億株
企業価値の計算
$企業価値 = \frac{10}{(1.1)^1} + \frac{12}{(1.1)^2} + \frac{14}{(1.1)^3} + \frac{15}{(0.1 – 0.02) \times (1.1)^3}$
この計算結果から企業価値を求め、そこから株価を算出できます。
まとめ
- DCF法は企業の本質的な価値を計算する方法
- 未来のFCFを予測し、現在価値に割り引いて合計する
- 最終的に株価を求めるには純負債を引いて発行済株式数で割る
- WACC(割引率)やターミナルバリューの設定が結果に大きく影響
DCF法は理論的に強力だが、将来のキャッシュフロー予測や割引率の設定が難しいため、慎重な分析が必要!
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