確かに、足元でS&P500は最高値から約5%下落している。財政赤字削減の一環としての追加関税や公務員削減が景気悪化を招く懸念を生じさせ、市場心理は悲観的である。しかし、これは嵐の前触れである。少なくとも今年後半には、減税、補助金及び規制緩和の嵐が吹き荒れるだろう。それを受けて米国市場は上昇基調になる。
また、現財務長官のベッセント氏はヘッジファンド出身であり、第一次トランプ政権時の財務長官もゴールドマン出身であった。表向きの狙いは、金融市場に対する迅速で効果的な対応への期待だが、実際には金融業界優遇の証左である。
元来、新自由主義はマネタリズムとサプライサイド経済学の両輪であり、前者は貨幣の供給量により物価を調整し、後者は減税や規制緩和を通じて企業(供給側)を支援することで経済成長を促す考え方である。第一次トランプ政権時においても法人減税やエネルギー産業における規制緩和により株価を上昇させた。一方で、これらの政策は株価に好影響であったが、必ずしも格差是正や市民生活の向上に寄与した訳ではない。この先、一般市民や中小企業よりも、ウォール街の利益が優先されることもあるだろう。
もちろん、現在のS&P500のPERは過去に比べ割高である。しかし、1971年のニクソンショック(金とドルの紐付け解消)以降の市場における貨幣供給量の増大、及び金融や情報技術といった原価率の低い業種の台頭といった背景を見逃してはならない。つまり、現在は歴史上最も株価評価が高く出る環境にある。
したがって、足元の下落はS&P500買い増しの絶好の機会である。今年後半にも減税と規制緩和の嵐が吹き荒れるだろう。トランプ大統領はパリ協定の離脱を決め、原油、製油及びLNGの輸出の増大を目指している。それに伴う規制緩和は必至である。
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