S&P500の歴史

投資

S&P500指数は、米国の主要企業500社の株価を基に算出され、米国株式市場全体の動向を示す重要な指標です。その歴史を振り返ると、以下のような変遷があります。

1. 初期(1920年代)

  • 1923年に、スタンダード・スタティスティクス(後のスタンダード・アンド・プアーズ)が最初に株価指数を発表しました。これは233社の株価データに基づくもので、現在のS&P500の前身にあたります。
  • 1926年には90社の株価を対象にした指数に変更され、この時期からデータの記録が残されています。

2. S&P500の誕生(1957年)

  • 1957年、500銘柄を対象とする「S&P500」として正式に導入されました。株価指数の計算には、時価総額加重平均方式が採用されました。
  • この時点で米国株式市場の多様な業種を代表する企業が選ばれ、市場全体を反映する指数として広く認識されるようになりました。

3. 成長と変動(1960年代〜1970年代)

  • 1960年代には、米国経済が安定した成長期を迎え、S&P500も着実に成長しました。
  • 1970年代に入ると、オイルショックやスタグフレーションの影響で市場が混乱し、S&P500も停滞期を迎えました。

4. 新自由主義とITバブル(1980年代〜2000年代初頭)

  • 1980年代に、レーガン政権が新自由主義的な経済政策を導入し、減税、規制緩和、自由貿易の推進などが進みました。この影響で、米国企業の利益が増加し、株式市場が大きく成長しました。
  • 1990年代後半からは、インターネットとテクノロジー企業が急成長し、ITバブルが発生。S&P500も急騰しましたが、2000年代初頭のITバブル崩壊により市場が一時的に低迷しました。

5. リーマンショックとその後(2008年〜2010年代)

  • 2008年のリーマンショックで米国経済が深刻な影響を受け、S&P500も急激に下落しました。大手金融機関の破綻や経済全体の危機によって、一時的に株価が大幅に下落しました。
  • その後、量的緩和政策やゼロ金利政策が行われたことで、徐々に回復し、株式市場は再び上昇トレンドに入りました。

6. コロナショックと近年の成長(2020年〜現在)

  • 2020年、新型コロナウイルスの感染拡大で一時的に急落しましたが、金融緩和と大規模な財政政策により急速に回復しました。
  • テクノロジー企業の成長や低金利環境が株式市場の成長を後押しし、S&P500は過去最高水準を更新しました。
  • 2024年現在、米国株式市場の指標としてのS&P500は引き続き経済の動向を反映し、グローバル投資家からも注目されています。

7. S&P500の歴史的な年間平均上昇率

  • 名目平均リターン:おおよそ 10-11% 前後
    (配当を含むトータルリターンベース)
  • 実質平均リターン(インフレ調整後)約7% 前後

具体的には、1926年からの長期的な平均リターンとして10%程度がよく参照されます。この数値には配当によるリターンも含まれており、価格上昇だけでなく、配当の再投資も含めたトータルリターンの観点から計算されています。

なお、インフレ調整後のリターンが約7%程度になるのは、経済環境や物価変動の影響を取り除いた実質的な成長率を示しています。

S&P500は、米国の株式市場だけでなく、世界経済の動向を映し出す指標としても重要な位置付けにあります。その長い歴史の中で、時代ごとの経済状況や政策の影響を受けながら成長を続けてきました。

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