令和8年度(2026年度)の税制改正による源泉所得税関係の主な変更点は次のとおりです。
- 基礎控除の引上げ – 合計所得金額に応じて基礎控除額が上がり、所得税法上の基本額は62万円(改正前58万円)となりました。例えば給与収入のみで132万円以下(206万円以下)の場合の控除額は104万円となり(改正前95万円)、655万円超(給与なら2,350万円超)では従来どおり62万円となります。
- 給与所得控除の最低保障額の引上げ – 給与所得控除の最低保障額が65万円から74万円に引き上げられ、給与収入が190万円以下の場合は74万円、190万超220万円以下の場合は「収入金額×30%+8万円」となります。これに伴い年末調整用の表も改正されます。
- 扶養控除等の所得要件改正 – 基礎控除や給与所得控除の引上げに伴い、配偶者や扶養親族の所得要件も引き上げられました。一般扶養親族や同一生計配偶者、ひとり親の子などの所得要件は合計所得金額62万円以下(給与のみなら136万円以下)と改められています。
- 公的年金等の源泉徴収税額の計算 – 令和9年1月以後支払分について、基礎的控除額が引き上げられました。たとえば65歳以上で年間年金が242万円以下の場合、控除額は月額の25%+11万円(最低18万円)。源泉徴収を要しない年金額の上限も65歳以上で214万円(2階部分のみなら137万円)などに変更されています。
- 物価上昇時の見直し – 令和10年分以後、基礎控除額と給与所得控除の最低保障額は2年ごとに消費者物価指数の変動率を基に見直されることになりました。
- 通勤手当の非課税限度額 – 令和8年4月1日以後、距離が65㎞以上の場合の自動車通勤手当の非課税限度額が45,700円に引き上げられ、片道75㎞以上では52,700円、95㎞以上は66,400円となります。一定の駐車場を利用する場合には、駐車場料金(上限5,000円)を上乗せできます。
- 食事支給等の非課税限度額の引上げ – 使用者からの食事提供に対する非課税限度額が月額7,500円(改正前3,500円)となり、深夜勤務に伴う食事代の代替金は1回650円以下(改正前300円以下)に引き上げられました。
- NISAの見直し – 「つみたて投資枠」は0~17歳が対象で年間60万円、非課税保有600万円まで、「成長投資枠」は18歳以上が対象で年間120万円(場合により240万円)・非課税保有1,800万円となりました。18歳未満の口座からの払出しは災害や教育費等の場合を除き18歳の年まで制限され、制限に反する払出しは15%(地方税5%)で源泉徴収されます。つみたて投資枠の下限年齢は令和9年1月1日から撤廃されます。
- 住宅借入金等特別控除の延長 – 省エネ性能の高い住宅の借入限度額引上げや子育て世帯の上乗せ措置拡充などの見直しとともに、適用期限が令和12年12月31日まで5年延長されました。
- 退職所得課税の見直し – 退職一時金を受けた後9年間(老齢一時金が令和8年1月以後の支払に限る)に受け取る退職手当等について、勤続期間の重複控除を排除する特例が導入されました。退職所得の申告書保存期間も10年に延長され、支払者はすべての居住者に係る源泉徴収票を提出することになりました。
- 一般生命保険料控除の特例 – 年齢23歳未満の扶養親族を有する納税者の一般生命保険料控除額が拡充され、年間保険料30,000円以下は全額、30,000円超60,000円以下は半額+15,000円、60,000円超120,000円以下は1/4+30,000円、120,000円超は一律60,000円となりました。特例の適用期限は令和9年分まで延長されます。
- 外国組合員への課税特例の見直し – 投資組合契約で有限責任組合員の持分割合が25%未満などの要件が緩和され、業務執行への不関与要件の範囲が変更されるなど、外国組合員に対する課税特例が見直されました。これらは非居住者が令和8年4月1日以降に得る国内源泉所得などに適用されます。
- ひとり親控除 – 控除額が35万円から38万円に引き上げられ、公的年金等の源泉徴収額の計算における人的控除額も32,500円に引き上げられます。令和9年分以後の所得税および令和9年1月以後支払の公的年金等に適用されます。
- 防衛特別所得税の創設と復興特別所得税の税率引下げ – 令和9年1月以後、防衛特別所得税(源泉所得税額の1%)が新設される一方、復興特別所得税の税率は1.1%に引き下げられ、課税期間が令和29年12月31日まで10年間延長されます。合計税率は従来どおり2.1%で、計算方法は変わりません。給与や報酬に対しては所得税率に102.1%を掛けた合計税率を乗じて源泉徴収します。
その他、特定外国法人の債券現先取引に係る非課税措置の期限延長、勤労学生控除の対象拡充、電子化された年末調整やキャッシュレス納付の推進なども盛り込まれています。

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