世界株・金・米国債で築く「全天候型ポートフォリオ」の実力

データの出所と前提条件

  • オールカントリー(ACWI)株式 — Lazy Portfolio ETF サイトでは MSCI ACWI ETF のパフォーマンスを公開しており、2026年5月までの月次リターンを元に各期間の年率リターンや標準偏差を示している。2026年5月時点の10年間の年率リターンは約 12.92 %、標準偏差は 14.51 % である。30年間(1996年6月〜2026年5月)の年率リターンは 8.37 %、標準偏差は 15.83 %
  • 金(SPDR Gold Trust GLD) — 同サイトの金ETFページで、2026年5月までの月次リターンを基に各期間の年率リターンや標準偏差が公開されている。10年間の年率リターンは 13.65 %、標準偏差は 14.70 %。30年間の年率リターンは 8.19 %、標準偏差は 16.19 %
  • 米国10年国債(中期債) — Lazy Portfolio ETF の「10‑year Treasury Portfolio」では7〜10年の米国債ETF(IEF)を含むポートフォリオのパフォーマンスが示される。2016年6月〜2026年5月の10年間における年率リターンは 0.79 %、標準偏差は 6.58 %。1996年6月〜2026年5月の30年間では年率リターン 4.65 %、標準偏差 6.70 %
  • 相関関係 — 同サイトでは各資産間の月次リターン相関が公開されている。ACWI と金の相関は10年間で 0.21、30年間では 0.10。金と米国債(総合債券指数)との相関は10年間で 約 0.41、30年間では 約 0.32。ACWI と米国総合債券指数(BND)の相関は10年間で 0.49、30年間では 0.18。この10年債の相関係数が公表されていないため、10年債を含む中期債と総合債券指数は類似したリスク特性を持つとの仮定でBNDの相関値を採用した。相関を用いてポートフォリオ分散効果を計算する。

計算方法

  1. 期待リターン:各資産の年率リターン(RiR_iRi​)に比率(重み wiw_iwi​)を掛け、その合計をポートフォリオの期待リターン(RpR_pRp​)とする。 Rp=i=1nwiRiR_p = \sum_{i=1}^n w_i \cdot R_iRp​=i=1∑n​wi​⋅Ri​
  2. 分散(標準偏差の二乗):資産iiiとjjjの標準偏差σi,σj\sigma_i,\sigma_jσi​,σj​と相関係数ρij\rho_{ij}ρij​を用いて共分散行列を作り、ポートフォリオの分散を次式で求める。標準偏差は分散の平方根。 Var(Rp)=iwi2σi2+2i<jwiwjσiσjρij\text{Var}(R_p) = \sum_{i} w_i^2\sigma_i^2 + 2\sum_{i<j} w_i w_j \sigma_i\sigma_j \rho_{ij}Var(Rp​)=i∑​wi2​σi2​+2i<j∑​wi​wj​σi​σj​ρij​
  3. 1シグマ・2シグマの範囲:期待リターンを中心に標準偏差(σp\sigma_pσp​)を1倍・2倍した区間 [Rp ⁣± ⁣σp],[Rp ⁣± ⁣2σp])[R_p\!\pm\!\sigma_p], [R_p\!\pm\!2\sigma_p])[Rp​±σp​],[Rp​±2σp​]) を求める。1σの範囲には約68%、2σの範囲には約95%の確率で年間リターンが収まると考えられる。

ポートフォリオ計算結果

次の表は、各期間ごとのデータを基に「オルカン(ACWI)40%、金40%、米国10年債20%」というポートフォリオの期待リターンとリスク指標を計算した結果である。計算では株式と債券の相関を BND(米国総合債券)の値で近似している。あくまで過去のデータに基づくものであり、将来の結果を保証するものではない。

使用データの期間ACWI年率リターン金年率リターン米国10年債年率リターンポートフォリオ期待年率ポートフォリオ標準偏差1σ範囲 (期待±標準偏差)2σ範囲 (期待±2×標準偏差)
10年間 (2016/06〜2026/05)12.92 %13.65 %0.79 %約10.8 %約9.7 %約1.1 % ~ 20.5 %約−8.6 % ~ 30.2 %
30年間 (1996/06〜2026/05)8.37 %8.19 %4.65 %約7.6 %約10.0 %約−2.5 % ~ 17.6 %約−12.5 % ~ 27.6 %

解釈

  • 10年間データでは、株式と金がともに二桁の高リターンを記録したため、ポートフォリオ全体の期待年率は 約10.8 % に達する。一方、標準偏差は 約9.7 % と比較的低い。1σ範囲(約1.1〜20.5 %)内で年間リターンが推移する確率は約68%程度、2σ範囲(約−8.6〜30.2 %)内に収まる確率は約95%程度と見込まれる。
  • 30年間の長期データでは、株式も金もリターンが8%前後に落ち着き、10年債は4.65 %程度である。相関係数が低いことから分散効果が働き、ポートフォリオの標準偏差は 約10.0 % に抑えられた。期待年率は 約7.6 % となり、長期的にはリスク・リターンが均衡していることがわかる。1σ範囲は −2.5〜17.6 %、2σ範囲は −12.5〜27.6 % であり、年によっては損失となる可能性もある。

注意点

  • 上記の計算は過去のリターンと相関係数に基づいた統計的推計にすぎず、将来の市場環境や為替変動を保証するものではありません。
  • 相関係数はACWIと10年債の組み合わせが公表されていないため、総合債券指数(BND)や長期国債(TLT)との相関値を近似として使用しました。この前提が変わればポートフォリオのリスク評価も変動します。
  • 投資判断には、目的やリスク許容度、運用期間等を十分に考慮し、必要に応じて専門家に相談してください。

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