日本の税理士法では、税金に関する相談や申告書の作成は「税理士業務」として税理士だけが独占的に行える業務と定められています。国税庁のQ&Aは、他人の求めに応じて行う以下の3つを税理士業務と規定しています。
- 税務代理(納税者に代わって申告や税務調査対応をすること)
- 税務書類の作成(税務官公署に提出する申告書などを作成すること)
- 税務相談(申告や申立てに関し、課税標準等の計算に関する相談に応じること)
このうち「税務相談」は、具体的な税額計算に関する質問に対して答えたり指示したりすることを指します。税理士法第52条は、税理士や税理士法人以外の者が税理士業務を行うことを禁止しており、違反すると2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が科されます。また「業として」とは反復継続して行うことを意味し、有償・無償は問いません。近年はSNS上で不特定多数に脱税方法を指南する事例が増えたため、令和5年の法改正で財務大臣が非税理士に対して税務相談の停止を命じられる制度も創設されました。
一方で、税理士でなくても行える範囲もあります。一般論として税制の仕組みやライフプラン上の税の影響を解説することはファイナンシャルプランナー(FP)でも可能だが、個別具体的な税額の計算や申告書の作成はできないと述べています。税理士事務所の解説でも、税制改正や一般的な事例の紹介といった客観的な情報提供は問題ないが、特定の人の状況に応じてアドバイスするのは税理士法違反になると注意しています。同様に、税理士法人のコラムも、所得税や相続税などの「個別具体的な税の計算方法の助言」は税務相談に該当し、税理士以外が行えば無料でも違法だと説明しています。ただし、一般的な税の計算方法やテキストに載っているような解き方を教えるだけなら税務相談に当たらないと示しています。
最近では、芸人のサバンナ八木氏がFP1級の資格で「お金の相談所」チャンネルを開設し、「税金対策」などの相談を受け付けると告知したところ、SNSで「税理士法違反ではないか」と指摘が相次ぎました。八木氏は「個別具体的な計算はせず、仕組みを説明するだけ」と釈明しています。この出来事は、一般論と個別相談の境界が注目されていることを示します。
結論と注意点
- 一般論の解説は可能 – 税制の概要や法改正、誰にでも当てはまる基本的な計算方法などを YouTube 動画やコメント欄で解説するのは、税理士でなくても行えます。FP などの専門家が一般的な税制知識を提供することも認められています。
- 個別の質問に答えるのは危険 – 「この経費を落とせるか」「我が家の納税額はいくらか」といった特定の人の状況に基づく質問に答えると税務相談に該当します。特に反復継続して回答していると「業として」行っているとみなされ、無償でも税理士法違反になります。
- 継続的な相談や節税指南はやめる – SNS やオンライン相談サービスで反復継続して節税指導を行うことは、2024 年の改正で財務大臣から停止命令を受ける対象となりました。停止命令に従わなければ刑罰もあり得ます。
- 不安なら専門家を紹介する – コメント欄で質問を受けても、個別に答えるのではなく「詳細は税理士に相談してください」と勧めるのが安全です。税理士に相談すれば納税義務の適正な実現にもつながります。
したがって、YouTube などのコメント欄で税金に関する一般的な情報や税制の仕組みを説明すること自体は税理士法違反ではありません。ただし、視聴者の具体的な税額や控除の可否など個別事情に踏み込んだ助言を、反復して行うと「税務相談」に該当し、非税理士が行えば違法となる可能性があります。コメント欄では一般論に留め、具体的な相談については必ず税理士などの専門家を案内するよう心掛けてください。

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