法人役員の老後設計――小規模企業共済と社会保険「65歳・70歳・75歳」の節目

税務会計

1.役員を続けながら受け取る方法

状況受取り区分役員退任主な条件
65歳以上・掛金納付180か月以上共済金B(老齢給付)不要65歳以上かつ15年以上納付
上記を満たさない自己都合解約解約手当金(任意解約)不要特別な理由は不要
65歳以上で役員退任共済金B必要原則として年齢条件
疾病・負傷により役員退任共済金B必要疾病・負傷が退任理由
65歳未満で通常の役員退任準共済金必要法人解散・傷病以外の退任
法人の解散共済金A結果的に退任法人の解散・破産等

したがって、65歳以上かつ納付180か月以上なら、役員を続けたまま「老齢給付」として受け取るのが基本的に有利です。中小機構・共済金等請求会社等役員の老齢給付

2.任意解約の要件と注意点

任意解約そのものには、退任・廃業・年齢などの要件はありません。本人の意思でいつでもできます。ただし受取額は次のようになります。

  • 納付12か月未満:解約手当金なし、掛け捨て
  • 12か月以上240か月未満:受取り可能だが、原則として元本割れ
  • 240か月(20年)以上:原則として掛金合計額以上
  • 途中で増額・減額している場合:20年以上加入していても、掛金区分ごとの納付月数によっては元本割れすることがある
  • 任意解約には付加共済金が加算されない

詳細は中小機構・解約手当金の算定方法に示されています。

税務上の違い

  • 65歳未満の任意解約:原則として一時所得
  • 65歳以上の任意解約:原則として退職所得
  • 65歳以上・180か月以上の老齢給付を一括受取り:原則として退職所得
  • 分割受取り:公的年金等の雑所得

したがって、65歳直前に任意解約するより、65歳まで待てるなら税制上有利になる可能性が高いです。国税庁・小規模企業共済の一時金の所得区分

3.介護保険料以外の社会保険料は何歳までか

法人から役員報酬を受け取り続ける前提では、次のとおりです。

保険料原則として負担する年齢その後
厚生年金保険料70歳到達まで70歳で保険料負担終了
健康保険料75歳到達まで後期高齢者医療保険料に切替え
子ども・子育て支援金等健康保険加入中原則として75歳の切替えまで
雇用保険料法人役員は原則対象外兼務役員等は例外
労災保険料法人役員は原則対象外特別加入等は例外

厚生年金は70歳まで

厚生年金の被保険者は原則70歳未満です。正確には、70歳の誕生日の前日に資格を喪失し、それ以降の厚生年金保険料は発生しません日本年金機構

ただし、70歳以降も役員報酬を受け取る場合、「70歳以上被用者」として在職老齢年金の調整対象になることがあります。保険料は払いませんが、給与額によって年金が一部停止される可能性があります。

健康保険は75歳まで

法人役員として加入要件を満たす限り、協会けんぽ等の健康保険料は75歳の誕生日の前日まで負担します。75歳の誕生日から後期高齢者医療制度へ移り、会社との折半による健康保険料はなくなります。協会けんぽ

ただし、75歳以降も医療保険料自体がなくなるわけではなく、後期高齢者医療保険料を原則として本人が負担し続けます

結論

法人役員を継続する場合の節目は次のとおりです。

  • 65歳・納付15年以上:役員を続けたまま小規模企業共済を老齢給付として受取り可能
  • 70歳:厚生年金保険料の負担終了
  • 75歳:会社の健康保険料負担終了、後期高齢者医療保険料へ移行

したがって、小規模企業共済については、急いで資金化する必要がなければ、少なくとも65歳・納付180か月の老齢給付要件を満たしてから受け取ることが、受取額と税務の両面で有力です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました