ニクソンショック以後のS&P500暴落率ワースト10

金融

マネーサプライは米国の名目M2(季節調整済み)を使用し、比較可能性を優先して「株価の底を付けた月から1年後まで」の増加額・増加率を示します。

順位下落局面高値→安値下落率底値後1年間のM2増加額M2増加率
1世界金融危機2007年10月→2009年3月−56.8%+1,385億ドル+1.7%
2ITバブル崩壊2000年3月→2002年10月−49.1%+3,629億ドル+6.4%
3第一次石油危機・スタグフレーション1973年1月→1974年10月−48.2%+1,045億ドル+11.7%
4コロナショック2020年2月→2020年3月−33.9%+3兆8,401億ドル+23.9%
5ブラックマンデー1987年8月→1987年12月−33.5%+1,621億ドル+5.7%
61980~82年景気後退1980年11月→1982年8月−27.1%+2,288億ドル+12.4%
7インフレ・急速利上げ2022年1月→2022年10月−25.4%−7,266億ドル−3.4%
81990年景気後退・湾岸危機1990年7月→1990年10月−19.9%+1,008億ドル+3.1%
9米中摩擦・FRB利上げ2018年9月→2018年12月−19.8%+9,595億ドル+6.7%
101976~78年調整局面1976年9月→1978年3月−19.4%+956億ドル+7.4%

※2011年の欧州債務危機も約−19.4%で10位とほぼ同率ですが、厳密な下落率では1976~78年局面がわずかに大きいため除外しました。2011年を含める場合、底値後1年間のM2は+7,082億ドル、+7.4%です。

読み取れること

最大の特徴は、コロナショック後のM2増加が突出していることです。底値後わずか1年間で約3.84兆ドル、23.9%増加しており、過去の危機対応とは規模が異なります。

一方、世界金融危機では底値後1年間の増加率が1.7%にとどまります。これは、金融緩和が弱かったという意味ではありません。M2はリーマン破綻から株価が底を付けるまでの間にすでに大きく増えており、さらに量的緩和資金の多くが銀行準備として滞留したためです。暴落開始月から底値1年後まで測ると、M2は約1.09兆ドル、14.7%増加しています。

2022年だけは例外で、株価下落後もインフレ抑制が優先され、M2は3.4%減少しました。したがって、

暴落すれば必ずマネーサプライが増えるのではなく、デフレ・信用収縮型の暴落では増加しやすいが、インフレ抑制型の暴落では減少することもある

というのが歴史的な結論です。

S&P500の下落率・高安値はStandard & Poor’sを基礎とするYardeni Researchの歴史表、M2はFRB原系列を掲載するFRED「M2SL」から算出しています。M2は名目値なので、年代をまたぐ「増加額」の比較では、金額より増加率を見るほうが適切です。

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