金ETFの金塊は監査されているか

コモディティ

GLD・GLDMが保有する金塊については、独立した検査会社による定期的な現物検査と、会計監査法人による財務諸表監査が行われています。

項目GLDGLDM
現物検査会社Bureau Veritas Commodities UK同左
全数検査年1回(原則9月30日の年度末)同左
抜き打ち・標本検査年1回同左
保管銀行HSBC、JPMorgan主にJPMorgan
会計監査KPMGKPMG
金塊リスト原則、日次公開原則、日次公開

現物検査の内容

Bureau Veritasは、毎年次の2回の検査を行います。

  1. 年度末の全数検査
    保管庫にある金塊を原則としてすべて数え、帳簿上の在庫と突合します。
  2. 年度途中の無作為抽出検査
    抜き打ちに近い形で一部の金塊を抽出して確認します。

検査では、おおむね次の事項が確認されます。

  • 金塊の現物数
  • 金塊ごとのシリアル番号
  • 精錬業者の刻印
  • 品位
  • 保管銀行の記録と信託側の記録との一致
  • 抽出した金塊の重量
  • Sigmascopeなどを使った異物混入・材質検査

過去の検査証明書では、全保有金塊を数えたうえで、約2.5%を無作為抽出して重量や材質を検査する手続が確認できます。(files.spdrgoldshares.com)

直近の実施状況

2025年度については、

  • GLD:2025年9月30日に、HSBCロンドン、JPMorganロンドン・ニューヨークの保管庫で全数検査
  • GLDM:2025年9月30日に、JPMorganロンドン保管庫で全数検査
  • 年度途中にも無作為抽出検査

が実施されています。GLDでは2026年3月にもロンドン・ニューヨークで標本検査が実施されています。(sec.gov)

KPMGによる会計監査

Bureau Veritasの現物検査とは別に、KPMGが財務諸表と内部統制を監査しています。

GLDMの2025年度監査では、金の存在確認が「監査上の主要な検討事項」とされ、KPMGは、

  • 保管銀行から金塊明細を直接取得
  • GLDMの帳簿と照合
  • 第三者による現物棚卸しの一部に立会い
  • 棚卸結果を信託・保管銀行双方の記録と照合

しています。単に保管銀行の残高証明を受け取るだけではなく、現物検査への立会いまで含まれています。(sec.gov)

金塊は「割当済み」

GLD・GLDMの金は、原則として各営業日の終了時点で「allocated gold」として保有されます。すなわち、単なる銀行に対する金の引渡請求権ではなく、シリアル番号によって特定されたLBMA適格金塊が信託に割り当てられます。金塊リストも公式サイトで公開されています。(World Gold Trust Services)

ただし、監査は「絶対に損失や不正が起きない」と保証するものではありません。保管銀行・再保管先の管理リスク、保険で全損失を補えない可能性、検査日以外の期間に関する限界は残ります。

結論として、GLD・GLDMは「帳簿上だけ金を保有している商品」ではなく、割当済み金塊、日次の金塊リスト、年1回の全数検査、年1回の標本検査、KPMGの財務監査という重層的な確認体制を備えています。金ETFの中でも、現物保有の透明性はかなり高い部類です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました