全世界株式を2倍で買う時代──レバレッジ・オルカンの新潮流

調査概要

日本語で「全世界株式のレバレッジ投資信託」と呼ばれる商品は、全世界株式指数(全世界株式インデックス)に対して約2倍の値動きを目指す投資信託やETFを指します。近年まで日本国内には全世界株式にレバレッジを掛ける投資信託が存在しませんでしたが、2024年以降に数本のファンドが登場しています。海外では欧州のUCITS ETFや米国のテーマETFとして2×レバレッジ型が誕生しており、世界中の投資家が活用できる状態になっています。一方、3倍以上のレバレッジで世界株式全体に投資するファンドは確認できませんでした。

以下では、日本国内の投資信託と海外ETFを中心に特徴とリスクを整理しました。

日本国内のレバレッジ投資信託

トレイサーズ グローバル2倍株 (通称「地球コンプリート」)

項目内容
運用会社アセットマネジメントOne(旧日興アセット)
目標と仕組み世界各国の株式に実際に投資し、さらに株価指数先物を組み合わせて合計約200%の株式エクスポージャーを持つことで、全世界株式の値動きの約2倍の収益を目指す。日本や新興国株式も含む広範なインデックスを対象とする。また、為替変動を部分的にヘッジし、円ベースでの価格変動を抑制する。
信託報酬年率0.2%(税込)(販売手数料・解約手数料は0円)。
その他の費用純資産の約200%を運用するため先物取引にかかる費用が存在する。
留意点本ファンドは実際に株式と先物を組み合わせるため、価格の減価リスクは抑えられているが、レバレッジによって下落時の損失も2倍程度になる。

auAM レバレッジ・オールカントリー(愛称「レバカン」)

項目内容
運用会社auアセットマネジメント
目標と仕組みMSCI ACWI指数(全世界株式指数、円換算)の日々の値動きの約2倍を目指す。BNPパリバの発行する担保付き社債に投資し、そのスワップ契約でレバレッジを実現する。為替ヘッジは行わない。
信託報酬年率0.352%(税込、税抜0.320%)。管理会社0.175%、販売会社0.125%、信託銀行0.020%に配分される。別途、担保債券に係る費用(0.07%程度)や指数ライセンス料がかかる。
その他の特徴買付時や解約時の手数料は原則0円。為替ヘッジを行わないため円安局面では有利だが、円高局面では基準価額が大きく下落する可能性がある。
純資産総額2026年6月時点の純資産は約31億円で、販売開始から半年余りで急速に成長している。

日本国内での3倍レバレッジファンドの有無

2026年6月時点では、全世界株式に対して3倍以上のレバレッジを提供する投資信託は見当たりません。S&P500やNASDAQ100など単一指数に対して3倍レバレッジを掛けるETFや投資信託は存在するものの、世界全体を対象にした3倍ファンドは公開情報では確認できません。

海外ETF(UCITSおよび米国ETF)

Amundi MSCI World (2x) Leveraged UCITS ETF (ティッカー:LVWC / ISIN:FR0014010HV4)

項目内容
運用会社Amundi (フランス)
目標と仕組みMSCI World Leveraged (2x)指数に連動する。MSCI World Leveraged (2x)指数はMSCI World指数の1日の騰落率を2倍にするよう設計されている。金利スワップなどを使った合成(スワップ)型で運用され、指数と同じ銘柄を直接保有しない。
費用総経費率(TER)は0.60%/年。
その他の特徴配当は分配せず再投資する(累積型)。通貨ヘッジは行わず、基準通貨は米ドル。ファンドサイズは約9300万ユーロ(2026年6月時点)で、2025年9月30日に設定された。

Leverage Shares 2X Long World Stock Daily ETF (ティッカー:WLDU)

項目内容
運用会社Themes ETF Trust/Leverage Shares (米国)
目標と仕組みVanguard Total World Stock Index Fund ETF Shares (ティッカー:VT)の1日当たりの値動きの2倍を目指す。ベータ1×のVTの先物・スワップ等を用いてデイリーにリバランスを行い、2倍の値動きを実現する。
管理手数料約0.35%。
特徴デイリーリバランス型なので、複利効果やボラティリティの影響により長期保有すると指数の2倍から乖離する可能性が高い。金融商品取引法上、上場投資信託として扱われるが、米国内でのみ取引される。

2×レバレッジ指数とETFの仕組み

  • MSCI World/ACWIレバレッジ指数: MSCIはWorldやACWIに対して日々の騰落率を2倍にしたレバレッジ指数(Net, Gross等)を公表している。これらの指数は1日のリターンを2倍に設定し、レバレッジ効果のある日次パフォーマンスを再現する。しかし、指数自体は投資商品ではなく、ETFや投資信託を通じて投資する必要がある。
  • デイリーリバランス: レバレッジETFは目標の倍率を維持するため毎日リバランスを行う。このため、数日以上の期間では基準指数の2倍から乖離することがあり、特に激しい値動きが続くと長期パフォーマンスに悪影響を及ぼす(ボラティリティ・ドラッグ)。

レバレッジ投資信託・ETFのメリットとリスク

主なメリット

  • 資本効率の向上: 同じ資金で2倍の株式エクスポージャーを持つため、長期的に株価が上昇する局面では通常のインデックス投資より高いリターンを得られる。
  • 低コスト: 日本のトレイサーズ グローバル2倍株は信託報酬0.2%と一般的なアクティブファンドより低廉であり、auAMレバレッジ・オールカントリーは0.352%と比較的安価である。

主なリスク

  • 下落局面での損失拡大: レバレッジにより基準指数が下落すると損失も倍増するため、大幅な下落時には元本割れリスクが高い。特にデイリーリバランス型ETFは数日続けて下落すると指数より大きく減価することがある。
  • ボラティリティ・ドラッグ: レバレッジETFは日々のリターンを掛け合わせるため、価格が上下を繰り返す環境では基準指数の単純2倍より成績が悪化しやすい。
  • 為替リスク: auAMレバレッジ・オールカントリーやAmundiのETFは通貨ヘッジをしないため、円高が進むと基準価額が想定以上に下落する可能性がある。

まとめと投資に関する注意点

  • 日本国内では「トレイサーズ グローバル2倍株」と「auAMレバレッジ・オールカントリー」の2本が全世界株式に対して2倍のレバレッジを提供している。両者の主な違いは、トレイサーズは株式と指数先物を組み合わせた実物投資にレバレッジをかけ、部分的に円ヘッジを実施しているのに対し、レバカンはBNPパリバ発行の社債を通じて指数の2倍に連動し、為替ヘッジを行わない点である。
  • 海外ETFではAmundiによるUCITS ETF(LVWC)や米国のWLDUなどが存在し、いずれもデイリーリバランス型であり長期保有には不向きとされる。特に欧州のUCITS ETFはスワップを活用した合成型であり、流動性や為替リスクの確認が必要。
  • レバレッジ商品は短期のトレーディングや戦略的に使うには有用だが、長期的な資産形成においては大きなリスクを抱える。指数の上昇が続く局面では高いリターンが期待できる反面、大きな調整局面や横ばい相場では元本が大きく減少する恐れがあるため、十分に理解したうえで少額から利用することが推奨される。

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