3,000万円の収益物件を法人が購入する場合の付随費用

不動産

以下は、法人が中古の一棟アパート等を購入するケースの概算です。

前提条件

項目仮定
売買価格3,000万円
土地・建物の内訳土地1,500万円、建物1,500万円
固定資産税評価額土地1,050万円、建物900万円
借入金2,400万円
仲介会社あり
用途居住用賃貸
建物中古住宅

※実際の税額は売買価格ではなく、固定資産税評価額や契約上の土地・建物割合によって変わります。

取得時の付随費用

費用計算例概算額
仲介手数料(3,000万円×3%+6万円)×1.1105万6,000円
売買契約書の印紙税1,000万円超5,000万円以下1万円
所有権移転の登録免許税土地1.5%・建物2%で試算33万7,500円
抵当権設定の登録免許税2,400万円×0.4%9万6,000円
不動産取得税下記参照約42万7,500円
司法書士報酬登記件数等による10万~20万円
融資事務手数料借入額の1~2.2%程度24万~52万8,000円
金銭消費貸借契約の印紙税紙の契約書の場合2万円
火災・地震保険料構造・補償期間による10万~30万円
固定資産税等の精算金引渡日以降を日割り10万~25万円程度
建物調査・鑑定等実施する場合5万~20万円
振込・各種証明書等1万~3万円

合計の目安

おおむね250万~350万円程度です。

したがって、3,000万円の物件を購入する場合、必要資金は次のように見るのが安全です。

物件価格3,000万円+付随費用250万~350万円
=総投資額約3,250万~3,350万円

借入条件や修繕の有無によっては、3,500万円近くまで見ておく必要があります。

税金の計算例

1.登録免許税

一般的な中古物件として計算すると、次のようになります。

登記内容計算税額
土地の所有権移転評価額1,050万円×1.5%15万7,500円
建物の所有権移転評価額900万円×2%18万円
抵当権設定借入2,400万円×0.4%9万6,000円
合計43万3,500円

土地売買による所有権移転登記の軽減税率が適用される前提です。法人の収益物件は、個人の自己居住用住宅に認められる住宅用家屋の軽減を原則として利用できません。

2.不動産取得税

不動産取得税は購入価格ではなく、原則として固定資産税評価額を基礎に計算します。

土地

宅地等について課税標準を2分の1とする特例が適用される前提です。

1,050万円×1/2×3%=15万7,500円

建物

居住用の家屋として3%で計算します。

900万円×3%=27万円

したがって、

15万7,500円+27万円=42万7,500円

となります。土地の課税標準2分の1措置や住宅の税率については、2027年3月31日までの適用内容が案内されています。(tax.metro.tokyo.lg.jp)

なお、一定の新築賃貸住宅などでは建物の控除や土地の減額が受けられ、税額が大きく下がることがあります。

3.印紙税

3,000万円の紙の売買契約書なら、軽減後の印紙税は1万円です。軽減措置は2027年3月31日までの契約書が対象です。電子契約の場合、通常は印紙税がかかりません。(nta.go.jp)

借入契約を紙で締結する場合は、2,400万円の金銭消費貸借契約書について、通常は別途2万円程度の印紙税が発生します。

消費税で特に注意する点

売主が個人か課税事業者か

売主土地建物
個人など事業者でない者消費税なし消費税なし
課税事業者非課税原則として消費税あり

土地の譲渡は消費税非課税ですが、課税事業者が売却する建物には消費税が含まれます。(nta.go.jp)

ただし、居住用賃貸物件の家賃収入は原則非課税です。(nta.go.jp)

そのため、法人が課税事業者であっても、居住用賃貸建物の購入に含まれる消費税は、原則として仕入税額控除できません。特に税抜1,000万円以上の居住用賃貸建物には、仕入税額控除を制限する規定があります。(nta.go.jp)

一方、店舗・事務所・倉庫などの課税賃貸物件であれば、課税売上割合等に応じて建物や仲介手数料の消費税を控除できる可能性があります。

購入後に毎年かかる費用

費用内容
固定資産税原則として課税標準額×1.4%
都市計画税市街化区域では上限0.3%
火災・地震保険料契約期間に応じて費用化
管理委託料家賃の3~5%程度が一般的
修繕費給湯器、外壁、屋根、退去修繕等
共用部の水道光熱費一棟物件の場合
税理士・会計費用法人決算・申告費用
法人住民税均等割赤字でも原則年7万円以上
借入利息元本返済は損金にならない
減価償却費建物・設備部分のみ計上可能

固定資産税・都市計画税は、売買時には売主と日割り精算することが一般的ですが、その精算金は税金そのものではなく、売買代金の一部として処理する点にも注意が必要です。

法人会計上の処理

付随費用の全額を、購入年度に一括して損金にできるわけではありません。

費用原則的な処理
土地・建物対応の仲介手数料土地・建物の取得価額に算入
登録免許税・不動産取得税損金処理または取得価額算入を選択できる場合あり
司法書士報酬内容に応じて取得価額または支払手数料
融資事務手数料内容・契約期間に応じて処理
火災保険料保険期間に応じて期間配分
固定資産税精算金原則として土地・建物の取得価額
建物取得価額耐用年数にわたり減価償却
土地取得価額減価償却不可

仲介手数料は、土地・建物それぞれの取得価額に配分するのが基本です。(nta.go.jp)

結論として、3,000万円の収益物件なら、税金・仲介手数料・融資費用を含めて物件価格の8~12%、すなわち約250万~350万円を付随費用として見込むのが現実的です。さらに購入直後の修繕費と空室期間に備え、別途100万~200万円程度の運転資金を確保しておくと安全です。

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