社会保険料はいつ費用になる?会社負担分の計上時期と前期修正・別表調整

税務会計

社会保険料は、会社負担分と従業員負担分で性質と計上時期が異なります。給与計算では一緒に扱っても、決算では分けて考える必要があります。

月末締め・翌月10日払い、社会保険料は通常の翌月控除、9月決算を前提にまとめます。

区分会計上の性質9月分の基本処理
会社負担分会社の費用「法定福利費」9月末に費用・未払金を計上
従業員負担分給与から預かる「預り金」10月10日の給与から控除
両者の納付未払金・預り金の精算10月末に納付

会社負担分の損金算入時期は、法人税基本通達9-3-2に規定されています。国税庁は、対象月の末日に従業員が在職していることで、会社負担分の債務が確定すると説明しています。www.nta.go.jp

期中の処理と決算時の処理

期中は、給与支払日に会社負担分もまとめて仕訳し、決算で期間を調整する運用ができます。ただし、継続性の原則だけで前期の費用を翌期へ移すことが認められるわけではありません。www.asb-j.jp

会社負担分42,000円なら、9月決算での基本仕訳は次のとおりです。

9月30日
(借)法定福利費 42,000 /(貸)未払金 42,000

10月末の納付時〔会社負担分のみ〕
(借)未払金 42,000 /(貸)普通預金 42,000

従業員負担分は納付時に預り金を取り崩します。会社負担分を9月末に計上した場合、10月の給与支払時に再計上しません。

通達の「損金に算入できる」は、未納でも対象月の属する年度で損金算入できるという趣旨です。年度を自由に選べるという意味ではありません。www.nta.go.jp

前期の計上漏れを翌期に修正する場合

前期決算が未確定なら、9月30日付で未払計上を追加します。確定後に翌期の前期損益修正損として処理する場合は、次の仕訳です。

(借)前期損益修正損 42,000 /(貸)未払金 42,000

翌期に法定福利費として計上済みなら、二重計上せず、法定福利費から前期損益修正損へ振り替えます。

単なる前期の費用漏れは、前期損益修正損として計上しても、原則として翌期の損金にはできません。www.nta.go.jp

別表四・五(一)の調整

前期の決算書を変更せず、更正の請求等で前期の損金算入が認められ、翌期に修正仕訳を行う場合は、次の流れです。

年度別表四別表五(一)の該当区分
前期の訂正42,000円を減算・留保減②42,000円、期末△42,000円
翌期の申告前期損益修正損42,000円を加算・留保期首△42,000円、増③42,000円、期末0円

別表五(一)は、会計と税務の利益積立金額の差額を管理します。原則として、別表四の減算・留保を「減」、加算・留保を「増」に反映します。www.nta.go.jp

更正の請求をしない場合は、当期の加算・留保によるプラス残高が別表五(一)に残ります。支払いだけでは解消せず、将来の損金になるわけでもありません。社会保険料自体を管理するのは別表五(二)ではありません。

100円程度でも原則は同じ

単なる費用漏れについて、少額という理由だけで当期の損金にできる一般的な例外はありません。したがって、100円でも原則として別表調整が必要です。一方、前期の更正の請求は必ず行う義務があるものではなく、税額等への影響と手間を踏まえて判断できます。

更正の請求の要件と処理期間

費用漏れにより、前期の納付税額が過大、繰越欠損金額が過少、または還付額が過少となった場合に請求できます。期限は通常、法定申告期限から5年以内です。平成30年4月1日以後開始事業年度の法人税で、繰越欠損金額を増額する請求は10年以内です。www.nta.go.jp

保険料通知・会社負担額の計算表・元帳・納付記録等を提出し、税務署の更正通知書で認められた内容を確認します。提出しただけでは認容済みにはなりません。www.nta.go.jp

一律の処理期間は公表されていません。提出から2~3か月連絡がなければ進捗を問い合わせる、という対応が考えられますが、これは公式の処理期限ではなく確認の目安です。

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