① 年金は、物価や賃金に応じて支給額を改定する
公的年金は、毎年、物価や賃金の変動を踏まえて支給額を見直します。基本は、新たに受給する人は賃金、既に受給している人は物価に応じた改定ですが、賃金の伸びが物価を下回る場合は、既に受給している人も賃金に合わせて改定します。つまり、物価上昇を必ず全額補う制度ではありません。mhlw.go.jp
なお、公的年金は個人の元本から利息を受け取る商品ではないため、**「想定元本が大きくなる」より「毎年の支給額が改定される」**と表現する方が正確です。
② マクロ経済スライドは、その増額を抑える仕組み
少子化で保険料を負担する人が減り、長寿化で年金を支給する期間が延びると、年金財政に負担がかかります。
そこで、物価や賃金に応じた年金の伸びから、一定の調整分を差し引きます。受給額の伸びを抑え、将来の現役世代の負担と給付のバランスを保つ仕組みです。厚生労働省
③ 支給額が増えても、購買力は落ちる
仮に、次のような年があったとします。数字は説明用です。
| 項目 | 前年 | 翌年 |
|---|---|---|
| 毎月の年金額 | 10万円 | 10万2,000円(+2%) |
| 同じ買い物に必要なお金 | 10万円 | 10万3,000円(+3%) |
年金は2,000円増えましたが、前年と同じ買い物をするには3,000円多く必要です。したがって、購買力は低下します。
実質的な変化率は、\[ \frac{1.02}{1.03}-1 \approx -0.97\% \]
となります。通帳に入る金額は増えているのに、生活を支える力は約1%弱くなるということです。この差が毎年続けば、実質価値の低下も積み重なります。
④ 「インフレなら、永久に下がり続ける」とは限らない
マクロ経済スライドは、年金財政を均衡させるための調整期間に実施するもので、終了を予定した仕組みです。また、実質価値が下がるかどうかは、その年の年金改定率と物価上昇率の関係によります。厚生労働省
したがって、ご提示の文章は、次のようにするとより正確です。
公的年金は物価や賃金に応じて支給額が改定される。ただし、マクロ経済スライドによる増額抑制や、賃金の伸びが物価を下回ることにより、物価上昇に追いつかない場合がある。その場合、支給額が増えても購買力は低下し、そうした状態が続けば、年金で賄える生活の範囲は徐々に小さくなる。


コメント