スズキ・スペーシア(MK42S)で、車体が温まった後、走行中に限って前方から「ビビビビ」という機械的な音が発生する。
今回確認できた条件は次のとおりである。
- 停車中には鳴らない
- エアコンは使用していない
- アクセル操作とは連動しない
- ブレーキ操作とも連動しない
- 一定速度での走行とも明確な関係がない
- 型式はMK42S
- 車台番号はMK42S-165162
この条件から、考えられる原因を整理する。
エアコンコンプレッサーの可能性は低い
スペーシアには、エアコンコンプレッサーの不具合によって異音や振動が発生する事例がある。
しかし、今回はエアコンを使用していないため、コンプレッサーが直接の原因である可能性は低い。
ただし、エアコンを切っていても、エンジンの冷却水温が上昇すればラジエーターファンは自動的に作動する。したがって、冷却ファンのモーター、軸受け、羽根の接触などは候補から完全には外れない。
もっとも、ラジエーターファンの異常であれば停車中にも音が発生する可能性があるため、「停車すると直ちに音が消える」という症状とは完全には一致しない。
排気管や遮熱板の共振
車体が温まってから発生する点を重視すると、排気管、マフラー、触媒周辺の遮熱板などが熱膨張し、走行時の振動や走行風によって共振している可能性がある。
この種の音は、金属板の単純な「カタカタ」という音だけではなく、細かく連続する「ビビビビ」という機械音に聞こえることもある。
実際の発生箇所が車体中央部や後方であっても、振動が車体を伝わり、運転席からは前方で鳴っているように感じる場合もある。
スズキはMK42Sの一部について、マフラー本体とテールパイプをつなぐ溶接部から亀裂が進み、異音が発生する可能性を公表している。
ただし、その対象範囲は次の車両である。
- MK42S-100027~MK42S-102965
- MK42S-590019~MK42S-591721
今回の車台番号「MK42S-165162」は、このマフラー保証延長の対象範囲には入っていない。スズキ公式「マフラーの保証期間延長について」
もっとも、対象外だからマフラーや遮熱板が故障しないという意味ではない。通常の経年劣化、腐食、固定ボルトの緩みなどは別途考えられる。
車台番号から注目されるフロントコイルスプリング
今回、最も注意したいのがフロントコイルスプリングである。
スズキによると、凍結防止剤の散布地域や沿岸地域などを繰り返し走行すると、塩分を含む泥や砂、小石によってフロントコイルスプリング端部の塗膜が傷つき、錆が発生することがある。
そのまま使用すると、錆を起点としてスプリング端部が折損し、前方から異音が発生する可能性がある。
MK42Sについて公表されている車台番号の範囲には、次のものが含まれる。
- MK42S-100032~MK42S-225307
- MK42S-530015~MK42S-534300
- MK42S-590022~MK42S-647453
- MK42S-790021~MK42S-822101
今回の車台番号「MK42S-165162」は、この公表範囲に入っている。
したがって、フロントコイルスプリングの錆、端部の折損、スプリング周辺部品との接触を優先的に点検する価値がある。スズキ公式「フロントコイルスプリングの保証期間延長について」
ただし、車台番号が公表範囲内でも、必ず対象部品が装着されているとは限らない。また、保証が適用されるかどうかは、初度登録日、走行距離、既に対策済みか、実際に錆や折損が確認されるかによって決まる。
保証期間は原則として「新車登録から10年間、走行距離10万キロまで」に延長されている。すでに10年を経過していた車両に設けられた特例期間は、2025年3月末で終了しているため、2026年現在、無償修理になるかは販売店での個別確認が必要である。
ISG、ベルト、テンショナーも候補
MK42Sは、モーター機能付き発電機であるISGを備えたS-エネチャージ車である。
そのため、一般的な車よりも発電機、補機ベルト、テンショナーなどが頻繁に作動する。これらの軸受けや張力調整機構が劣化すると、回転中に「ビビビビ」「ガラガラ」といった機械音が発生することがある。
ただし、ISGやベルトの異音は、通常はエンジン回転数、加速、減速、発電状態などにある程度連動する。今回の症状はアクセル操作などと連動しないため、第一候補ではないものの、点検対象には含めるべきである。
現時点での優先順位
今回の条件から考えると、点検の優先順位は次のようになる。
- フロントコイルスプリングの錆・折損
- 排気管、マフラー、遮熱板の緩みや共振
- ラジエーターファンのモーター・軸受け
- ISG、補機ベルト、テンショナー
- ストラットなどフロントサスペンション周辺
段差や荒れた路面で音が強くなるなら、スプリングやストラットの可能性が高まる。
一方、平坦な道路でも不規則に発生し、十分に温まった後に限って鳴るなら、排気系の熱膨張や電動ファンなどが疑われる。
販売店への伝え方
異音は、整備工場へ持ち込んだときに再現しないことも多い。そのため、音が発生した際には、安全に配慮しながらスマートフォンで録音・録画しておくと診断に役立つ。
販売店には、次のように伝えるとよい。
スペーシアMK42S、車台番号MK42S-165162です。車体が温まった後の走行中に限り、前方から「ビビビビ」という機械的な異音が発生します。停車中には鳴らず、エアコン、アクセル、ブレーキ、車速との明確な連動もありません。フロントコイルスプリング保証延長の公表範囲に入っているため、スプリングの錆・折損を中心に、遮熱板、排気系、冷却ファン、ISG・ベルト周辺も確認してください。
まとめ
MK42S-165162は、スズキが公表しているフロントコイルスプリング保証延長の車台番号範囲に入っている。
したがって、今回の異音については、フロントコイルスプリングの錆や折損を最優先で確認すべきである。ただし、「温まった後に限って発生する」という特徴から、排気管や遮熱板の熱膨張による共振、冷却ファンなども否定できない。
車台番号だけで故障原因や無償修理の適用が確定するわけではない。前方から新たな機械音が発生している以上、放置せず、スズキ販売店で保証・対策履歴を照会したうえで点検を受けるのが安全である。


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